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最新!化学事故情報

6 月の化学火災(中学校で実験中の硫化水素中毒が多発)

災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

6月28日「中学校の理科の実験で発生した硫化水素による体調不良」兵庫県
兵庫県豊岡市の中学校で、鉄と硫黄を化合させて硫化鉄を作り、塩酸をかけて硫化水素を発生させる実験をおこなったところ、発生した硫化水素を吸った生徒11名が体調不良となり、病院に搬送された。
ひとこと:6月だけで4件の類似事故が発生しており、安全情報の共有の大事さが認識された。

6月26日「定期修理中に石油製品が河川に流出」三重県
三重県四日市市の化学工場からトルエン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、インデン(二環性の炭化水素)などのC9留分(炭素数9の炭化水素)が河川に漏洩した。定期修理でタンクの洗浄作業をした後、別のタンクに入れてあったC9留分を洗浄後のタンクに戻す際に、緩んでいた配管のバルブから約2,000Lが漏洩し、約400Lが排水溝を通って敷地外の河川に流出した。同社では自治体消防と連携してバキュームカーや吸着マット、オイルフェンスにより液体の回収作業を行った。
周辺の住民1人が悪臭による体調不良を訴えたが、快方に向かった。
ひとこと:C9留分はナフサ分解の副生物の可燃性液体で、石油樹脂原料などに利用される。

6月25日「リサイクル工場で火災」鳥取県
鳥取県鳥取市のプラスチック製廃棄物のリサイクルを行っている工場で火災が発生。工場内の棚など約40平方メートルが焼け、1時間後に鎮火した。

6月25日「製紙工場で火災」静岡県
静岡県富士市の製紙工場で火災が発生し、パルプやベルトコンベアなどが焼けた。

6月22日「薬品の誤投入による混触で塩素ガスが発生」愛媛県
愛媛県宇和島市の浄水場の屋外の濾過機の点検中に、水中の浮遊物を吸収するポリ塩化アルミニウムを入れるべきところ、誤って消毒用の次亜塩素酸ナトリウムを投入して塩素ガスが発生した。作業員2名が塩素ガスを吸って体調不良となった。
ひとこと:凝集助剤のポリ塩化アルミニウム溶液は酸性溶液で、アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムと混合すると塩素が発生する危険がある。

6月21日「スプレー缶廃棄作業中に火災」新潟県
新潟県三条市の廃棄物処理業の倉庫から出火した。倉庫内で殺虫剤のスプレー缶に穴を開ける廃棄装置が稼働しており、屋外で従業員2人が作業中に爆発が起き、倉庫を焼いた。
ひとこと:スプレー缶の蓄圧剤はプロパンなどの可燃性ガスで、穴あけ作業での爆発はいまだに発生している。2019年には大阪府高槻市で、スプレー缶のガス抜き作業中に爆発火災が発生して3人が死亡、1人が重傷を負った。

6月20日「製鉄所で移送中の熔鉄が容器から漏洩」茨木県
茨木県鹿島市の製鉄所で、専用の貨車で運搬中に熔鉄が漏洩した。自衛消防隊が放水して漏れた鉄を冷却した。設備への延焼はなかった。
注:熔鉄とは、銑鉄を融点以上に加熱してとかすこと。また、その溶けた銑鉄のこと。

6月15日「中学校の理科の実験で硫化水素による体調不良」東京都
東京都八王子市の中学校の理科室で実験後、生徒8名が体調不良となり、病院に搬送されたがいずれも軽症であった。理科室で硫化鉄を作って硫化水素を発生させる実験を行っており、硫化水素を吸って体調不良となった。

6月14日「化学工場でプラントの配管切断作業中に爆発」新潟県
新潟県糸魚川市のクロロプレンゴムなどの合成ゴムを製造する化学工場で、配管切断作業中に爆発が起き、協力会社の作業員1名が胸部の大動脈損傷で約3時間後に死亡。別の作業員2名が軽傷を負った。

6月13日「木質ペレット工場で火災」長野県
長野県伊那市にある、松を破砕してストーブ燃料用の木質ペレット(おが粉を小さな棒状に固めた燃料)を製造する工場での火災。木材を乾燥させる工程で出火し、設備や木くずなどを焼損した。

6月8日「産業廃棄物処理施設でプラスチック溶融設備の火災」愛媛県
愛媛県松山市の産業廃棄物処理施設で火災。発泡スチロールを溶融する機械から出火した可能性。

6月6日「産業機械工場でベルトコンベア火災」富山県
富山県氷見市の自動車部品工場で火災が発生し、工場2棟を繋ぐベルトコンベアの一部が焼けた。工場では砂の鋳型を製造しており、ベルトコンベアで高温の砂を運搬していた。

6月5日「塗料会社の樹脂工場で火災」愛知県
愛知県みよし市の産業用塗料会社の樹脂工場で火災が発生し、工場の一部が焼けた。人的被害はなかった。

6月2日「中学校の理科の実験で硫化水素による体調不良」福岡県
福岡県飯塚市の中学校の理科室で硫化水素を発生させる実験後に、生徒10名が体調不良で病院に搬送された。いずれも軽症であったが、うち6名が入院した。理科室で鉄と硫黄を化合させてできた硫化鉄に塩酸を加えて硫化水素を発生させる実験を行い、硫化水素の発生を確認するために臭いを嗅ぐなどした。

6月2日「中学校の理科の実験で硫化水素による体調不良」埼玉県
埼玉県川越市の中学校の理科室で、実験後に異臭により生徒11名が頭痛や吐気、喉の痛みなどで体調不良となり、病院に搬送された。いずれも軽症であった。理科室で鉄と硫黄を試験管に入れて加熱する実験を行っていた。実験中は窓を全開にしており、実験に使用した試料の量は適切だという。硫化水素が発生したとみられる。

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