保安力向上センターの会長就任ご挨拶

2018年6月1日
保安力向上センター
会長  伊藤 東

この度、新たに独立法人化しました「特定非営利活動法人 保安力向上センター」の初代会長に就任致しましたので、ご挨拶を兼ねて保安力向上センターの紹介をさせて頂きます。


会長 伊藤 東

1.会長就任の挨拶

安全工学会での役員を副会長2期と会長1期の6年間担当し、その間、保安力向上センターの創設と育成に関与させて頂いた関係で、独立法人化に伴い会長を依頼され、お引き受け致しました。企業(デンカ株式会社)での安全活動の経験より、保安力向上センターの活動は企業の自主的な安全活動推進に大いに寄与しているとの感触を持って居ります。また、本センターの活動は産官学での安全経験者・有識者が推進しているため、企業現場の実態に即した支援活動に成って居り、多くの企業が参画されることをご提案致します。

2.保安力向上センターの目的と設立経緯

20世紀末から21世紀初頭にかけて化学産業での世界的な重大事故多発を踏まえ、“技術面”に加え“意識面(安全文化)”の重要性が指摘され、日本でも対応が検討された。

(1)経済産業省は『安全文化の醸成によるプロセス産業の自主的な安全活動』の在り方を安全工学会に検討依頼。(2006)

(2)安全工学会は『保安力評価法』を答申(2011)、更に企業での実用化を図るため『保安力評価システム』を作成した(2013)。

(3)大手化学企業18社の支援を得て、安全工学会内に「保安力向上センター」を創設し、『保安力評価システム』を活用する企業の自主的な安全活動支援を開始(2013)。

(4)5年間の活動実績を踏まえ、「特定非営利活動法人 保安力向上センター」として独立し(2018.6)、『保安力評価を通して、産業界の安全に貢献する』を目的とする体制を整備した。

3.活動概況

『保安力評価システム』(知財登録済)は「安全基盤」と「安全文化」より成り、約150項目の5段階評価にて保安力評価を行い、自社の“強み”と“弱み”を把握し、安全レベルの継続的な向上を図るものである。

(1)団体会員の42社(正会員23社、賛助会員19社)は、「保安力評価システム」を活用し、保安力レベル向上の自主的な活動を行っている。

(2)保安力向上センターは依頼により、各社の現場に出向いての保安力評価を実施している。これは「センター評価」と呼ばれ、「第三者評価」として位置付けられている。

(3)参画する全社の評価結果を統計的に集計して会員に提供し、各社が自社活動の評価レベルを項目別に他社と比較することを可能にしている。

(4)正会員企業の「保安力評価推進委員」は自社の活動推進を図ると共に、各社推進委員との定期的な会議にて相互に経験交流を行い自社活動の更なる向上に活用している。

4.今後の展開

保安力向上センターの活動が評価され、化学産業主体に参加企業が増加しているが、今後はより広い産業分野等への適応拡大を進めて行くと共に、安全活動の人材育成にも努める。

(1)化学・石油産業から鉄鋼分野に活用が拡大して居るが、材料加工等にも広げる。
また、大企業だけでなく中小企業でも活用可能な評価システムを準備すると共に、必要によりコンサルティング機能も確保する。

(2)全社的な保安力向上には“現場”だけで無く、“経営層”、“管理層”の関与も重要である。経営層や管理層に参考となる「安全資料」の準備や、現場安全活動の「中核的人材の育成」にも努力する。

(3)「保安力評価システム」の改善継続と「評価者の育成」を図り、保安力評価法による自主的な保安力向上活動の普及を行う(含、海外)。

(4)産業界(日化協、石化協、石連等)、経産省、各大学及び海外機関(フランス安全文化研究所等)と連携し、幅広い社会安全(含、安全教育)に寄与する活動にも参画する。

安全は産業界だけでなく社会生活全般でも重要性が認識され始めている。「絶対安全は無い」や「自分の安全は自分で守る」等の“安全原則”も提起されている。安全は“技術や規則”の整備に加え、人の“安全意識”も重要であり、『安全は技術×意識 (Skill×Mind』 にて達成される。

皆様が「保安力向上センター」の活動に参画し、産業安全の確保のみならず、社会安全まで安全意識の視野を広げて頂けることをご期待申し上げます。