会長挨拶

2023年8月1日
保安力向上センター
会長  松尾 英喜

保安力向上センターは2013年に設立されました。当時は化学プラントの死亡重大事故が続いていた時期でした。設立から10年、会員企業の皆さんと共に企業の保安力向上に取り組んでまいりました。しかし事故そのものは撲滅できていません。これまでの事故を振り返ると、安全が維持されていると思ってしまう(過信)、エラーや不具合・弱点の存在に気付かなかったり警戒を怠る(慢心)、が背景にあることが指摘されています。安全は社会の価値観、経済状況、人や組織、技術、設備等の変化などに影響を受け何もしなければ劣化します。継続的な改善が必要です。

今、製造現場を取り巻く環境は大きく変化しています。人材クライシスと言われる人材不足、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー、気候変動や自然災害への対応、AIやICT等の高度な技術の導入も推進されています。人の役割りや求められる能力も変化していかなければなりません。

このような状況下、経営層から現場まで一体となって安全を維持する組織、意識の継続的な強化、取り組みが必要です。安全を支える安全基盤や安全文化が常に環境の変化に応じて適切な取り組みができているかチェックを行い、強化していく必要があります。またその対応ができる人材育成も怠ることはできません。

保安力向上センターは会員企業の皆さんと一体となって、安全基盤と安全文化の状況が適切に運営されているかチェックを行うと共に、課題を抽出し、その改善策を考える取り組みや人材育成の支援、更には安全に関する個別の相談にものっています。保安力向上センターでは様々な企業で技術と経験を積んだ人材が在籍し、この支援を行います。また会員企業間の情報交換や議論等も活発に行い産業界全体での保安強化に取り組んでいます。

保安力向上センターでは今後も、他の機関や産官学の連携のパイプ役等の取り組みも行ってまいります。安全は個社の秘密情報ではなく産業界で連携して保安力を強化していくものと捉え、保安力向上センターにお気軽に相談していただきたいと思います。