保安力評価Q&A

保安力の評価項目はどのように策定したのでしょうか
安全基盤はPSM(Process Safety Management 米国 OSHA)規則やISRS(International Safety Rating System ノルウェー DNV)、Safety Climate Tool(英国 HSL)等、国際的に運用されている評価手法等を調査し、さらに産業界の安全、運転、設備管理の専門家が参画して、日本の実態に合わせた項目を策定しました。
安全文化はイギリスを中心にした安全文化に関する研究の成果、原子力分野で先行していた安全文化の評価項目、安全文化を含む規程や規格、国内外の優れた事業所の取り組みや、過去に起きた重大化学事故の背景要因などを分析して項目を策定しました。
センター評価はどのように活用されますか
安全に関する強みや気がかりとともに、5段階の定量評価の結果も提供します。定量評価では、すべての事業所が最高のレベル(レベル5)を目指すのではなく、取扱う物質や工程・作業などのリスクの大きさなどにより、事業所として目指すレベルを設定することを推奨しています。
定量評価の結果は類似の事業所(プラントなど)との比較や改善の進捗の見える化に有効です。
なお、改善を進める一助として、各社の良好な改善事例を参考事例集として整理し、提供しています。また、2回目以降のセンター評価は、改善活動の効果の検証にも活用されています。
保安力評価の手順を教えてください
保安力評価を実施する工程や設備を決めます。その後、センターの評価員が自己評価のための研修を行います。保安力評価を進める人材の育成も進んでおり、センターによる評価前の研修を必要としない会員も増加しています。
対象部門の運転、事業所の保全、安全のマネージャーによる自己評価を行い、その結果と組体制(人員構成など)や安全実績などを送付いただきます。送付された結果をセンター評価員が検証したうえで現地を訪問し、自己評価者へのヒアリングに基づいて判定します。安全文化は職階別、年齢層のグループインタビューも実施します。現地調査の標準的な日数は、1つの工程(プロセスなど)で安全基盤、安全文化ともに2日です。
保安力評価はどのような業種で活用できますか
現在の会員は石油や石油化学に加えて、化学品の加工、鉄鋼、環境事業(廃棄物リサイクルなど)、化学品の貯蔵、道路管理などですが、化学材料を利用するエネルギー関連、電子産業、機械、輸送機器など幅広い分野での評価が可能です。産業の実態に合った評価のためには、事業の形態や事業所の規模によって評価する項目を絞り込んだり、自社での用語に変更するなどのカスタマイズ版作成のお手伝いもしています。
センター評価員の資格要件、会員の自主活動について
評価員の資格に関する規程を作成し、適性の評価や事前研修により選任します。現在の安全基盤評価員は主として石油精製や石油化学の運転管理、設備管理、安全管理、組織運営の経験者です。また、安全文化では企業経験者に加えて、安全文化の専門家も参加しています。会員の自主的な保安力評価や保安力向上のための人材育成講座の開催や、保安力向上のための情報を継続的に提供しています。また、法人正会員は保安力評価推進委員会を通して緊密な情報交換を行っています。