post_type:post/single.php

最新!化学事故情報

2月の化学火災(アンモニア漏洩が2件発生)

災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

2月28日「廃棄物処理会社で使用済み砲弾を切断中に破裂」宮城県
宮城県岩沼市の廃棄物処理会社で、鉄くずとして販売するため自衛隊から購入した使用済みの米国製砲弾(長さ約27cm、直径約6cm 火薬なし)を、ガスバーナで切断中に破裂した。破片が飛散し、会社に隣接するアパートの2階の外壁に長さ約10cmの穴が空き、付近のダクトが変形した。

2月25日「鉄工所で金属加工中に火災」三重県
三重県桑名市の鉄工所で火災が発生し、工場ならびに隣接する住宅を全焼した。金属加工作業中の火花が機械の潤滑油に着火した可能性。

2月16日「製紙工場の電気室でアンモニアが漏洩」北海道
北海道旭川市の製紙工場の電気室での作業中にアンモニアが漏洩した。作業員7名が目のかすみなどの体調不良となり、うち3名が病院に搬送されたが全員軽症であった。
ひとこと:2017年には愛知県の製紙工場で配管が破裂して、アンモニア水を浴びた作業員が死亡する事故も起きている。

2月14日「化学工場で保守作業中にアンモニアが漏洩」愛媛県
愛媛県新居浜市の化学工場でアンモニアが漏洩した。アンモニア貯蔵タンクに繋がるポンプの保守点検作業中に、ポンプ内に残留していたアンモニアが気化して漏洩した可能性。漏洩は約30分で収束した。
ひとこと:高圧ガス保安協会(https://www.khk.or.jp/)の事故事例データベースによれば、自治体に報告されたアンモニアの漏洩は2000年〜2019年の20年間に400件以上あり、30人以上が中毒となったいた。漏洩の大部分は冷凍機で発生している。

2月12日「塗装工場で漏洩LPガスの換気不足で火災」京都府
京都府久御山町の塗装工場の火災。ガス警報器が作動したため、工場の建屋内を30分ほど換気したが、換気が不十分であった。その状態で、塗装作業用の機械に着火しようとしたため、下部に残留していたLPガスに着火した。従業員1名の着衣が燃えて火傷を負った。
ひとこと:可燃性ガスや毒性ガスの検知や換気ではガスの比重への注意が必要である。空気より軽い水素やメタンは上部での検知、換気が必要であり、空気より重いLPGなどは下の方に検知機器や換気装置を設定する。

2月8日「原子力関連研究機関の機械室で給電ケーブルの火災」茨城県
茨城県東海村の原子力関連研究機関で火災があった。この研究施設は2023年1月に過電流が原因で安全装置が作動して、自動停止していた。点検中に排気設備の給電ケーブルに焦げ跡を発見し、消防が火災と判断した。

2月6日「砥石工場で火災」広島県
広島県広島市の砥石工場兼住宅と倉庫2棟が全焼した。損傷状況などから1階の工場内が火元とみられる。工場は無人だったが、砥石の製造機械が稼働していた。

2月1日「製紙工場で悪臭廃水が漏洩」新潟県
新潟県新潟市の製紙工場で臭気物質を含む廃水が漏えいした。パルプ製造で生成する黒液の濃縮工程の設備の不具合により、ドレンタンクからメチルメルカプタンを含有する廃水が漏洩した。不具合のあった設備は直ちに停止したため臭気は収まった。健康被害の報告はない。
ひとこと:黒液とはパルプ原料となる木材繊維を固めていたリグニン・樹脂成分と蒸解薬品の混合液を濃縮したもの。なお、黒液は重油の1/2〜1/3の燃焼熱量があり、(回収)ボイラーにより残存するエネルギーが活用されている。

保安力向上センター