post_type:post/single.php

最新!化学事故情報

2月の化学火災(熱交換器の気密試験中の爆発4人死亡、製菓工場火災6人死亡)

災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
また、センター専門家による「ひとこと」欄も参照いただきたい。

2月28日「繊維製品工場でLED照明の交換作業中に火災」愛知県
愛知県西尾市の繊維工場で照明をLEDに交換する作業中に火災となり、作業員1名が火災により死亡した。
ひとこと:LEDランプは点灯時に大きなエネルギーを必要としない。そのため、蛍光灯用の照明器具にLEDランプを取り付けた場合、点灯させる度にLEDランプに負荷をかけることになり、組み合わせによっては火災となる可能性もある。

2月26日「木工所の火災で2人死亡」秋田県
秋田県由利本荘市の木工所の火事で作業場など3棟が全焼し、2人が死亡した。

2月21日「廃棄物処理施設での火災 リチウム電池が混入発火の可能性」東京都
東京都町田市の廃棄物処理施設の不燃ごみピットで火災が発生した。市の報告ではリチウムイオン電池の発火による可能性が推定されている。

2月11日「化学工場で熱交換器の気密試験中に爆発」韓国
韓国全羅南道麗水市のプロピレンなどを製造する化学工場で爆発事故が発生した。熱交換器の清掃後の気密試験中に爆発した。熱交換器付近にいた協力会社の作業員ら8名のうち、4名が死亡し、4名が負傷した。
同じ工業団地では2021年12月にも化学工場の危険物保存施設で爆発事故があり、3人が死亡している。

2月11日「製菓工場で火災 6人死亡」新潟
新潟県村上市の煎餅やあられなどの米菓を製造する工場での火災。生産ラインの休止中の清掃作業の時間帯に焼釜付近か乾燥工程付近から出火した可能性。事故当時6名が勤務していたが、清掃担当のアルバイト社員4名と製造担当の従業員2名が死亡し、1名が負傷した。
同工場では何度も火災が発生しており、アルバイト社員に対する避難訓練未実施を含めて防火対策の不備が指摘されているが、焼損が激しく原因調査は長引く可能性がある。
同工場では1988~2019年に8件の火災が発生していた。

2月10日「補修作業中の酸欠、救援者も死亡」山口県
山口県周南市の金属工場で補修作業中に酸欠事故が発生した。高さ約2メートル、幅約3メートルの鋼製の鋳型内部の酸素を取り除くために、アルゴンガスを充填したが、その後槽内に落下物があり、それを取り除くために槽内に入った作業員1名が倒れ、助けに入った1名も倒れ、2名とも死亡した。

2月9日「プラスチック工場の焼却炉からの飛び火で火災」千葉県
千葉県市原市のプラスチック加工工場の敷地内にあったフォークリフトのパレットが焼け、近くの倉庫に延焼。稼働中の焼却炉の火がパレットに燃え移った。

2月8日「電気自転車充電中の火災」中国
上海市の住宅で、充電中の電動自転車を火元とする火災で住民3人が死亡した。電圧60ボルト以上のリチウムイオン電池が出火したとみられている。
中国では2019年に電動自転車充電中の火災が年間1万8千件発生し、57人が死亡した。国内の事例は少ないが、消費者庁の重大製品事故(2019年)として、輸入された電動自転車のバッテリーの発火が報告されている。粗悪な電池の使用、電気自転車の改造、屋内の充電、長時間の充電などが問題視された。
ひとこと:国内での火災事例はないが、工場内でも電動機器等の充電中の火災には気を配る必要がある。

2月5日「リサイクル工場でドラム缶切断中に爆発」北海道
北海道札幌市の自動車リサイクル工場で、ドラム缶を切断中に爆発が起き近傍の可燃物に着火して火災となった。切断作業中の従業員が重傷を負った。
ひとこと: 可燃性液体が入っていたドラム缶や塔槽類は解体中に爆発する可能性がある。容器内の可燃物を除去した後、溶断作業を行うと内部に残存する可燃物が気化して溶断の炎で爆発する。溶断前に水や窒素で内部の空気を追い出すことが必要である。

2月4日 「クリーニング工場で爆発」神奈川県
神奈川県横須賀市のクリーニング店でドラム式洗濯機の電源を入れたあと爆発した。電源を入れた従業員1名が全身やけどで病院に搬送された。
ひとこと:ドライクリーニングではフロンが使用不可となり、ほとんどで石油系溶剤が使われており、類似の爆発が時折発生する。

2月4日「精密機械工場で火災 消火活動で負傷」愛媛県 
愛媛県松山市の金属製品製造会社の自動車用精密機械工場から出火、検査室の一部を焼いた。エンジンの試験運転中で、消火作業中の3人が喉の痛みを訴えて救急搬送された。

2月2日「プラスチック工場で薬品から出火」大阪府
大阪府大阪市のプラスチックの加工工場で洗浄作業中に爆発を伴う火災が発生した。プラスチックの洗浄作業をしている際に、溶剤に着火した可能性。

2月1日「ゴミ焼却施設での火災で再開に半年以上」栃木県
栃木県宇都宮市の一般廃棄物焼却施設で火災が発生し、消火までに38時間を要した。この火災でごみピットのクレーン、脱臭装置、放水銃などが焼損し、再開までの半年以上かかるとされている。市ではごみに混入していたスプレー缶やリチウム電池、ライターなどから発火した可能性があると推察している。事故後近隣のごみ処理施設が協力して処理をおこなっているが、処理が追いつかず、市長が「非常事態」として、家庭や事業所に対し、ごみ排出量の5割削減を求めている。

保安力向上センター