1月の化学火災(気になる事例・・)
災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://riss.aist.go.jp/sanpo/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
また、センター専門家による「ひとこと」欄も参照いただきたい。
1月31日「硝酸アンモニウムを貯蔵する肥料工場で火災」米国
米国ノースカロライナ州の肥料工場で火災が発生した。工場内敷地内に約600トンの硝酸アンモニウムが保管されており、爆発の危険があったため、消防が付近の住民約6,500名に避難を勧告したが、幸い爆発には至らなかった。
1月31日「金属スクラップ工場での火災」大阪府
大阪府枚方市の金属スクラップ工場アルミ銅センターで火災が発生した。敷地内に野積みされていた金属スクラップ入りの袋に、焼却炉の火が入り、着火した可能性。
1月26日「化学工場で二塩化エチレンタンクが爆発」米国
米国ルイジアナ州の化学工場で内容積100万ガロンの二塩化エチレンタンクが爆発し、タンクの近くで作業中の6名が負傷した。
二塩化エチレンは塩化ビニルモノマーの製造に用いられ、引火性と同時に発がん性の可能性が指摘されている。
同社の工場では2021年9月にも6人が負傷する爆発が起きていた。
1月25日「ドラム缶切断作業中に爆発」岐阜県
岐阜県大垣市の金属買取業の敷地で爆発が起き、切断作業をしていた従業員1名が死亡した。重さ約10kgのドラム缶をバーナで切断中に、ドラム缶内に残留していた酢酸エチルにバーナの火で着火した可能性。
1月24日「繊維工場で火災 コンセント部分から出火」静岡県
静岡県菊川市の繊維工場で火災が発生し、木造工場1棟が全焼した。機械用のコンセント部分が火元の可能性。
1月21日「バッテリー製造工場で爆発・火災」韓国
韓国忠清北道清州市の二次電池部材製造工場4階のボイラ室付近で爆発が起きて火災となった。従業員1名が死亡し、避難中に1名が重傷、2名が軽傷を負った。
1月21日「産業廃棄物処理工場の火災が消火水源不足で消火長期化」広島県
広島県安芸高田市の廃棄物処理工場で火災が発生した。近くに水源がなかったことなどから、消火に2週間を要した。敷地内に積まれていた廃タイヤ1万本と無人の工場建屋が全焼した。
1月20日「大学の研究室で金属加工用機械の火災」石川県
石川県白山市の大学の機械やロボットの研究を行っている実験室で、金属加工用機械が火災を起こした。出火時、研究室は無人であった。初期消火にあたった警備員1名が喉の痛みで病院に搬送された。
1月18日「塗料工場で火災」埼玉県
埼玉県三郷市の塗料工場の塗料室から火災が発生し、隣接する建屋7棟が焼け、1名が負傷した。
1月14日「リサイクル工場火災」千葉県
千葉県千葉市のリサイクル工場で火災が発生し、敷地に置かれた廃プラスチック約3000立方メートルを焼損した。
1月11日「大学の実験室で火災」広島県
広島県東広島市の大学生物生産学部研究棟の1階の食品工学研究室の実験室で火災が発生し、実験室を全焼した。実験室では、前日の15時半頃まで学生が実験を行っていた
1月6日「半導体原料工場で黄リン精製中に爆発」宮城県
宮城県大崎市の半導体原料製造工場の高純度赤リン製造棟で爆発が起きた。黄リンの不純物除去のために硝酸と反応させて精製する工程での爆発。製造棟の外壁が破損し、設備の一部が損傷。従業員1名が顔や喉にやけどで重傷、別の1名が太ももにやけどで軽傷
ひとこと: 硝酸による黄リンの精製では不純物の油分と硝酸との反応で熱が発生し、設定温度が高かったり、反応器容量が大きく除熱能力が不足すると反応の熱的暴走に至る可能性がある。
また、高純度赤リンは化合物半導体やシリコンウエハーの製造に必要な素材であり、事故によるサプライチェーンへの影響も心配された。
保安力向上センター