10月の化学火災(気になる事例・・リチウム電池の廃棄処理)
災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、アジア地区の重大事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
10月28日「製鉄所の高炉ガスが漏れで一酸化炭素漏洩 3人死亡」中国
河北省邢台市の製鉄工場の高炉で一酸化炭素が漏れ、現場で作業中の作業員3人が中毒して死亡した。高炉でガス管の改良工事が行われており、ガスを引き込む作業を行ったところ、設備の故障で一酸化炭素が漏洩した。
中国では、工場での有毒ガスの中毒事故がしばしば発している。9月には政府による電力制限の影響で、遼寧省 の製鉄所で突然の停電がおきて電動送風機が停止し、高炉のガスが漏れて23人が一酸化ガス中毒となった。
10月25日「什器工場で粉体塗装中に火災」神奈川
神奈川県中井町の金属製什器製造工場の、スチール製什器や棚板の塗装ラインで火災が発生した。粉体塗装の吹付け作業中に、粉じん回収タンクから出火した可能性。
10月24日「大学の実験室で粉塵爆発 2名死亡」中国
中国江蘇省の大学の航空や宇宙関係の開発研究分野で粉じん爆発が発生した。実験室では金属粉を扱う実験が行われており、金属粉じんに着火した可能性が高い。2名が死亡、9名が負傷した。
10月22日「農薬工場で爆発 4人死亡」中国
中国内モンゴル自治区の農薬工場の酸化工程で爆発が起きた。作業員4人が死亡、3人が重軽傷を負った。爆発後に火災が発生し、翌日早朝に鎮火した。
10月21日「リサイクル工場で火災」愛知県
愛知県安城市のリサイクル工場で火災が発生し、4階建ての工場の4階部分などが燃えた。破砕ごみ搬送用ベルトコンベア部分の焼損が激しかった。
10月20日「金属工場火災 消火が難航」福井県
福井県勝山市の合金の精製工場から出火、屋外の原材料置き場にあったチタンくずなどを焼いた。従業員らにけがはなく、22日に鎮火した。
工場にはチタンやアルミニウムなどの金属があり、放水により火災が拡大する可能性があるため、消火活動は難航した。
同工場では2月19年にも金属片を粉砕作業中に爆発が起き、作業中の従業員2名が負傷し、1人は約1カ月後に死亡した。
10月13日「クリーニング工場で爆発」沖縄
沖縄県糸満市のクリーニング工場で廃タイヤなどを燃料とするボイラーが爆発し、作業員2人が負傷した。同工場では5月にも別のボイラーの爆発があった。前日の燃焼ガス(または未燃物の分解ガス)が炉内に残存して爆発につながった可能性がある。この工場ではこの工場では過去にも何度か爆発があった。
10月6日「リチウムイオン電池の熱分解試験中の爆発」青森県
青森県三沢市の産業廃棄物処理会社の敷地内で、リチウムイオン電池の熱分解試験をしていた燃焼試験炉が爆発し、実験中の従業員一人が死亡し、1人が負傷した。
ひとこと:リチウム電池をはじめとする大容量電池の増加に伴い、その無害化や再利用技術の開発が加速されると思われる。廃プラスチックの再資源化や、RDF、RPFの活用では様々な事故が起きており、技術開発に伴うリスクを予測し検討を進めることが重要である。
10月5日「廃棄物焼却施設で着衣火災」神奈川県
神奈川県相模原市の産業廃棄物処理工場で従業員が重度のやけどを負い、病院に運ばれた。
廃棄物の焼却作業中に着衣に引火したとみられる。
10月5日「花火工場爆発」北海道
北海道小樽市の花火工場の花火準備室で製品の打ち上げ花火の点検中に火災が発生し、爆発した。数名が重傷・軽傷を負った。
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