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最新!化学事故情報

2020年7月前半の化学火災(国内外で消火作業中の消防士の死傷相次ぐ)

災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/)ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。なお、海外での重大事故や国内で類似火災の可能性がある例なども掲載する。

7月15日「非鉄金属加工工場で爆発」静岡県
静岡県伊豆市のアルミ部品の製造工場で爆発により工場の屋根が吹き飛んだ。従業員2名が爆発による飛散物で軽いやけどを負った。工場ではアルミニウムなどの非鉄金属製品の製造、加工をしていた。

7月13日「粗大ごみ処理施設の火災」愛媛県
愛媛県西条市の粗大ごみ処理施設内の破砕機から火災が発生し、ベルトコンベヤの一部とコンベヤ上の廃棄物を焼損した。
ひとこと:青森市内の清掃工場では2020年5月に火災が連続して発生しており、市消防本部の調査では、三つの火災のうち二例は、不燃ごみ中のリチウムイオン電池から発火したと推定している。

7月12日「バイオ燃料製造工場での火災」中国
中国東部福建省竜岩市のバイオディーゼル製造会社で、作業員がグリセリン貯蔵タンクから内容物を搬出中に火災が発生した。3人が負傷し、2人が行方不明とのことだが、続報はない。工場では廃食用油から軽油やグリセリンなどを製造していた。機械の保守作業中に燃料に着火した可能性があり、消火には20時間を要した。
高い気温も影響したのではないかとみられている。
ひとこと:国内では2019年4月にバイオマス燃料を搬送するベルトコンベアから出火し、燃料貯蔵倉庫に延焼した事例がある。

7月8日「爆竹工場の爆発火災で消防士が負傷」中国
中国四川省の爆竹工場で爆発、火災が発生し、消防隊員と付近の市民6人が負傷した。
6月末から気温が高い状態が続いたため、工場は製造停止中であった。倉庫に保管されていた爆竹原料のニトロセルロースが自然発火し、付近の建物にあった爆竹の導火線や花火、爆竹などに延焼した。
ひとこと:国内でのニトロセルロースの自然発火事例としては、東京都の月島倉庫の爆発火災(1964年7月14日)、愛知県の火薬工場での爆発(2000年8月1日)などがあるが、いずれも気温の高い夏に発生している。

7月5日「倉庫火災で消防士、警察官4人が死亡」静岡県
静岡県吉田町の生活用品製造工場内の倉庫で火災が発生し、火元確認のため現場に入った消防士3人と警察官1人が死亡した。
密閉された空間に可燃性のガスや熱がたまり、流れ込んだ酸素と反応して爆発的に燃え広がるバックドラフト現象。室内にたまった可燃性ガスが爆発的に燃え広がるフラッシュオーバー現象。会社として独自の事故調査委員会(委員長 田村昌三東京大学名誉教授)を設置し、原因究明を行うこととしている。
ひとこと:国内の最も痛ましい倉庫火災としては、1964年に発生した品川倉庫の爆発火災がある。直接の火災原因はニトロセルロースの自然発火であり、その後無許可で貯蔵されていた過酸化物が爆発し、消防士19名がなくなった。

7月4日「豪雨による水蒸気爆発」熊本県
熊本県葦北郡芦北町の工場の黒鉛化炉に雨水が侵入し、水蒸気爆発による火災が発生した。発生当時は前日からの集中豪雨で工場全体が冠水していた。

7月2日「化粧品工場の火災で消防士が負傷」韓国
京畿道南楊州市の化粧品工場で火災が発生した。5時間後に鎮火したが、消防隊員1人が軽症を負い、工場などが全焼した。

【追加情報】6月24日に発生した、インドクジャラート州の日本企業の工場の火災(6月後半の化学事故情報に掲載)での損害額として161億円計上との決算報告があった。

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