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最新!化学事故情報

2020年6月後半の化学火災(過去の事例のフォローも掲載)

災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/)ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。なお、海外での重大事故や国内で類似火災の可能性がある例なども掲載する。

6月25日「廃棄物処理施設の火災」福岡県
福岡県北九州市の市粗大ごみ資源化センターで火災が発生した。施設のベルトコンベヤー周辺から火が出たとみられる。

6月24日「日系の工場で火災」インド
インドクジャラート州にある日本の子供用おむつ製造工場で火災が発生した。死傷者はいないが、設備にかなりの被害が生じ再開は未定とのこと。

6月21日「食肉加工工場の火災」千葉県
千葉県白井市の畜肉加工工場で火災が発生した。工場を焼損し、1名が煙を吸って病院に搬送された。

6月20日「機械工場電気集塵機からの火災」富山県
富山県滑川市の機械工場で電気集塵機から発火し、火災となり機械の一部を焼損した。

6月18日「大分・バイオマス発電施設の地下タンクでメタンガス爆発」
大分県日田市のバイオマス発電施設の地下タンクでメタンのガス爆発が起き、工場内の扉や配管などが破損、変形した。タンク内には発電用タービンの燃料となるメタンガスを発生させるための、生ごみや家畜の糞尿などが貯蔵されており、それらの沈殿を防ぐため連続的に攪拌されていた。撹拌機の電気配線が短絡して漏電し、タンク内に滞留したメタンに着火した可能性がある。タンクには脱臭設備はあるが、ガスの濃度計はなかった。また、事故発生前には猛暑が続き、タンク内の温度が上昇してメタンの発生量が通常より増加していた可能性がある。この施設では年間200万キロワットを発電している。
ひとこと:2019年6月には山形県山上市のバイオマス発電施設で発生した水素の爆発が起き、付近の住民が軽傷を負った。また、本事例は台風や大雨などと同様に、気象異常に伴う産業事故とみなすこともできる。

6月17日「大学実験室の廃棄物からの火災」山形県
山形県米沢市の大学の有機エレクトロニクス関連の研究施設の研究室内のごみから出火した可能性。火災があった研究室の真下の部屋に禁水性物質があったため、消防は放水せず、粉末消火器で消火した。初期消火にあたった職員3名が煙を吸いこみ軽傷を負った。
ひとこと:東京大学では学内の教育・研究を含むすべての事故を大学本部に報告することが義務付けられていて、環境報告書で事例の分析結果などが紹介されている。

6月16日「溶剤精製中の火災・・中学校」長野県
長野県松本市の中学校の理科室で、教員がゴム栓付きのフラスコに消毒用エタノールを入れ、カセットコンロで加熱蒸留中に何かの原因でゴム栓が外れ、気化したエタノールにコンロの火で着火した。教員は、校内に保管されていた金属製容器の消毒用エタノール8リットルが容器の錆で変色したため、再利用するために蒸留していた。
ひとこと:長期保存していた2級アルコールやエーテル類など、過酸化物を生成しやすい溶剤の場合、蒸留によって生成していた過酸化物が濃縮して爆発する例がある。

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