2019年12月前半の化学事故・・・事故被害者の過少報告を摘発(中国)
RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。
12月10日「原子力発電所内の変電所で火災」佐賀
佐賀県の玄海原子力発電所の敷地内にある変電所で火事が発生した。配電盤に焦げあとや損傷が見つかった。原発の運転に影響はない。
九州電力が佐賀県に提出した事故原因は以下の通り。
発電所と変電所をつなぐ電線の保守作業時に遮断器(6-20)を投入した際に、受電用遮断器(M-100)の1次側に三相一括接地器具が取り付けられていたことから、三相短絡を引き起こし、三相一括接地器具が焼損し火災が発生した。
12月6日「木工品工場で火災」島根
島根県奥出雲町の木工品製造工場で火災が発生し、木造平屋建て工場約450平方メートルを焼損し、約3時間後に鎮火した。けが人はいなかった。出火当時、工場は無人だった。
12月5日「ガス田の天然ガス圧縮設備で爆発、火災」米国
米国Wyoming州のガスパイプラインで加圧状態に保つための天然ガス圧縮設備で爆発、火災が発生し、3名がやけどで重傷を負った。
なお、2019年に米国のパイプラインで発生した火災、爆発、漏洩事故はWIKIPEDIAで紹介されている。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_pipeline_accidents_in_the_United_States_in_2019
12月4日「花火工場で爆発 地元当局が死者を過少申告」中国
中国湖南省瀏陽市の花火爆竹工場で爆発が起き、13人が死亡し多数の負傷者が出た。
工場の責任者と出資者が公安機関に拘束された。
また、事故後の湖南省の調査で地元当局が死者数を実際よりも少なく報告していたことが判明し、湖南省の公安当局は虚偽報告に関わった疑いで幹部らを拘束し、中国政府も事態を深刻視して経緯を調べている。
中国では死者10人以上の化学事故が重大産業事故とされ、国(応急管理部)による調査が行われる。
12月3日「染色工場の汚水タンク爆発」中国
中国浙江省嘉興市の染色工場建屋に隣接する直径3メートル、高さ15メートルの汚水タンクが爆発し、爆発の衝撃で積み重ねてあった貨物用の棚板が崩落した。作業者が下敷きになり、4人が死亡し、16人が入院した。
12月3日「食品工場で爆発」中国
あんこや菓子類を製造する日系の食品工場で爆発が起き、4人が死亡し、10人が負傷した。
12月3日「製鉄所で火災」大分
大分県大分市の製鉄所で、高炉から熱風が吹き出て配管が焼ける火事があった。炉の設備の一部で、工場の作業員が初期消火を行い通報からおよそ10分後に鎮火した。けが人はおらず、操業への影響もない。
12月3日「中学校の理科の実験中にフラスコ内の水素が爆発」三重
三重県紀北町の中学校の理科実験で、講師がフラスコに亜鉛と塩酸を入れ、水素を発生させて火を近づけ、生徒たちが反応音を確かめる実験で、講師が手順を誤りフラスコ内の水素に着火した可能性が指摘された。講師1名と生徒1名が飛散したフラスコの破片で切創を負い、生徒3名が一時的に耳が聞こえ難くなった。
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