2019年10月前半の化学事故
RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。
過去の事故の教訓について,センター研究員の経験からの(ひとこと)も紹介する。
10月2日「ごみ収集車から出火、火災」広島県
広島県福山市の市道でごみ収集車の荷台から出火、ごみの一部を焼いた。スプレー缶や電動自転車用バッテリーがごみに交ざっており、破損した際に出火した可能性が高いとみられている。 当日、ごみ収集車は不燃ごみを回収していた。市内のごみ収集車の火災は今年、2件起きており、いずれもガスボンベの破損などが原因の可能性が高い。
(ひとこと)ゴミ収集車の改修中の火災に関する全国的な集計はないが、各自治体の報告などから推定すると年間1000~2000台の火災が発生していると推定される。火災の発生要因はスプレー缶と小型リチウム電池が大部分である。
10月4日「研究所でヘリウム配管破裂」千葉県
千葉市稲毛区の研究所の研究棟2階で、ヘリウムガスパイプが破裂した。磁気共鳴画像装置(MRI)の交換作業中にMRIからヘリウムガスを抜き取るためのパイプが破裂し、研究員が避難しようとした際に転倒し、腰などに軽傷を負った。天井の一部が破損した。破裂前に異常音がしたという。
10月7日「工業用素材製造工場爆発 従業員2人けが」兵庫県
兵庫県尼崎市の工業用素材製造会社の工場で爆発があった。工場の屋根や壁が吹き飛び、従業員2人が顔などにやけどを負い病院に搬送された。うち1人は重傷という。
工場では当時9人が働いており、シリコンを機械で粉砕する作業中に爆発が起き、出火したとみられる。
(ひとこと)過去には、廃棄物処理施設のボールミルでクロロシランポリマー加水分解物を破砕中の破裂例などがある。
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