2019年5月後半の化学事故・・・廃棄物処理・リサイクル施設での火災が目立つ
RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)との連携により提供された情報を中心に、火災や爆発の事例を紹介する。
また、過去の事故の教訓について、センター研究員の経験からの(ひとこと)も紹介する。
5月15日「リサイクル工場廃材置き場の火災」茨城
茨城県常総市のリサイクル工場廃材置き場から火災が発生した。廃材の中の大量のプラスチックやビニール類が燃えたとみられ、鎮火にほぼ5日半を要した。火災による有害物の発生も予想されたため、常総市は地元の小中学校、幼稚園などにマスクを配布し、鎮火までの登下校時の着用を義務付けた。なお、同工場は2018年8月に廃家電品の保管に関して県の改善指導を受けていた。
5月16日「石油タンクが爆発」徳島
徳島県徳島市の徳島石油末広油槽所で石油タンク1基が爆発し出火,大量の黒煙が発生した。消防車13台が出動して消火、冷却し、約1時間45分後に鎮火した。
けが人、周辺へ延焼もなかった。出火当時、船から地下パイプを通じて油槽所に燃料を送る作業が行われていた。
この事故を受けて、市消防本部は市内の類似2施設の立ち入り検査を行い、タンクのさび止め塗装が施されているか、通気管のガス抜きの適切さなどについて確認を行った。
5月20日「廃棄物処理施設の廃材置き場の火災」栃木
栃木県栃木市のリサイクル工場のプラスチックの廃材置き場で火災が発生し、大量の黒煙が発生して、近くの倉庫や周囲の林にまで延焼した。
5月24日「リサイクル施設で保管中の廃棄物の火災」長野
長野県松本市のリサイクル工場の金属(廃家電など)やプラスチックを保管する建物から、午前0時頃火災が発生し、6時間後に鎮火した。廃棄物約95トンが焼失し、設備の一部も焼損した。現場検証の結果、放火やコンプライアンス違反の疑いはないとのことであった。
火災による有害ガスや粉じんの発生は環境基準値内ではあったが、同社では健康影響を考慮して、市を通して市内の小中学校にマスクを配布した。
5月29日「無人の廃棄物処理施設での火災」長野
長野県東御市にある産業廃棄物処理施設で火災が発生した。2時間半後に鎮火したが、木くずや油圧ショベル1台などが焼けた。破砕機内部の木くずに金属片が混入し、破砕工程で発熱して木くずに引火したものと推定された。
5月29日「繊維工場での火災」石川
石川県かほく市のレース生地などを作っている繊維工場で火事が発生し、事務所と工場の間にあるダクトを焼失し、1時間後に鎮火した。繊維のくずなどに引火した可能性もある。
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