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最新!化学事故情報

2019年6月前半の化学事故・・・廃プラスチック貯蔵、電気自動車火災・・リチウム電池が原因か

RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)との連携により提供された情報を中心に、火災や爆発の事例を紹介する。
また、過去の事故の教訓について、センター研究員の経験からの(ひとこと)も紹介する。

6月1日「廃棄物置場での火災」長野
長野県辰野町の金属スクラップ等を処理する工場で火災が発生した。建屋内と屋外に堆積していた廃プラスチックや家電製品などが燃え、工場建屋にも延焼し8時間後に鎮火した。
(ひとこと)プラスチックごみの集積所での火災が増えている。主な発火原因は、廃プラスチックに交じったリチウムイオン電池とみられている。廃プラスチックは中国が輸入を禁止した影響で国内にたまり続けており、2018年度のリサイクル工場などの火災は128件で17年度の2倍以上、19年度は4、5月の2カ月で62件に上っている。
リチウムイオン電池は様々な家電品に使用されており、リチウムイオン電池が入ったままの電気製品をごみとして出してしまう例が多いとみられる。リチウムイオン電池は破砕施設などで衝撃が加わると発火する可能性が高いことが実証されている。

6月4日「金属加工工場での火災」神奈川
神奈川県相模原市の金属(アルマイト)加工工場で、爆発音と共に火災が発生した。従業員1人が煙を吸い込むなどで軽傷を負った。市は避難所を開設したが、避難者は数人であった。

6月10日「大学実験室で火災」東京
東京都文京区の大学キャンパスの地下1階の実験室のゴミ箱付近の床から出火し、床や内壁など約8平方メートルを焼いた。実験室には水素やメタンガスが入ったボンベがあったため、学生らが一時避難した。
(ひとこと) 2014年2月にも、同じ建物内の実験室で爆発火災があった。反応実験中に異常反応が起きて実験中の大学院生が顔や両手をやけどし、ビーカーのガラス片などが全身に刺さり重傷を負った。
筑波大学化学部門では実験中の事故やヒヤリハット事例をイラストで紹介しており、大学だけではなく、企業の研究室でも参考になると思われる。以下を参照されたい。
http://www.chem.tsukuba.ac.jp/nomoto/anzenkanri.html

6月14日「駐車中の電気自動車が発火」中国
中国の蔚来汽車(上海市)の電気自動車、クロスオーバー型「ES8」で発火事故が起きた。14日午後3時ごろ、湖北省の市場近くに駐車していた車両から出火して一部を焼失した。
ES8の発火事故は、2カ月間で3回発生している。1回目は衝突事故を起こし、整備工場に搬入されていた車両から突然発火した。2回目は上海市の住宅団地の地下駐車場に駐車していた車両から白い煙が噴出し、たちまち燃え広がった。3件とも駐車中の車両からの発火であった。
メーカーは火災の発生を受け、充電率を90%以下に抑えるよう呼び掛けたばかり。
(ひとこと) クロスオーバー型の電気自動車とは3つの動力(EV/HEV/ガソリン)を併用する、効率的な仕組みの自動車のこと。

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