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最新!化学事故情報

2019年5月前半の化学事故・・・実験中にフラスコが破裂など

RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)との連携により提供された情報を中心に、火災や爆発の事例を紹介する。
また、過去の事故の教訓について、センター研究員の経験からの(ひとこと)も紹介する。

5月2日「自動車解体工場で火災」岐阜
2日午後5時半ごろ、岐阜県羽島市の自動車解体工場で解体作業中に火災が発生し、約3時間後に鎮火した。工場に隣接する住宅3棟の壁や網戸が焦げたが、けが人はいない。

5月7日「大学の実験中の破裂事故」群馬
群馬県桐生市の大学の実験室でフラスコが爆発した。大学生、大学院生の2人が耳の痛みなどを訴え、病院に搬送された。いずれも顔などへの軽いやけど。また2人がガラスの破片で怪我をした。

5月8日「廃プラスチックのリサイクル工場の火災」千葉
千葉県成田市の廃プラスチックのリサイクル工場で「機械が燃え、黒煙が上がっている」との通報があった。倉庫内が燃え、約1時間20分後に鎮火した。工場には従業員5人がいたが、避難した。出火当時、工場では建物の増設工事などが行われており、フェンスの溶接による火花がプラスチックごみに引火し建物に燃え移ったとみられる。

5月10日「金属加工工場で爆発」福井
福井県勝山市の金属加工工場で爆発があった。金属を破砕していた従業員が上半身を中心にやけどの重傷、近くで同じ作業をしていた従業員は顔に軽いやけどを負った。建物に被害はなかった。
金属粉砕エリアで粉砕作業をしていたが、ガスや火は使用しておらず、粉砕で空気中に飛び散った金属の粉じんによる爆発の可能性がある。同社は鉄とケイ素の合金のフェロシリコンとフェロシリコンマグネシウム合金の一貫生産体制を確立していた。
(ひとこと)SDS(Safety Data Sheet)には、フェロシリコンは粉じん爆発の危険性があること、酸化剤、強酸、アルカリと反応して火災や爆発が起きることなどが記載されている。

5月10日「成形セメント工場で火災」埼玉
埼玉県比企郡の成形セメント製造工場で火災が発生し、製造施設が焼損した。ラインオートクレーブ設備に設置している油圧装置から漏れた油の発火と推定された。
同社の主力製品の製造施設が焼損したことで、火災後の業績への影響が不明とされてはいるが、事故3日目の株価は前週比17%下落した。

5月10日「木材チップ工場の火災」和歌山
和歌山県紀の川市にある木材チップの工場で火災が発生し、鉄骨平屋、一部2階建てスレート葺きの工場の一部およそ270平方メートルが焼失した。火災当時は無人で、木粉チップが保管されていた2階部分が激しく燃えていた。
(ひとこと)木材チップやRDF(ゴミ固形燃料)は多量に堆積された状態では、酸化熱や発酵熱が蓄積し火災となることがある。2003年に佐倉市で発生した木材チップの火災は鎮火まで1月を要して、大気や水など周辺環境に大きな被害を発生させた。

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