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最新!化学事故情報

10月の化学火災(化学物質による事故と厚生労働省の事故事例集)

災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

10月31日「理科の実験中にエチルアルコールの爆発」東京都
東京都港区のインターナショナルスクールで理科の実験中にエチルアルコールの火災が起きた。同室の内壁と窓の一部が焼け、生徒2名と教師2名が火傷を負った。実験中にエチルアルコールに着火した可能性。
ひとこと:エチルアルコールは気化しやすく、燃焼限界が4.3〜19%と広いため、引火の危険性が高い。

10月31日「浄水場で点検、清掃作業中に排気管が破裂」大阪府
大阪府池田市の浄水場の浄水装置の点検、清掃作業中に排気管内で爆発が起きた。作業員1名の背中に破損した塩化ビニル製配管の破片があたり、切創で軽傷を負った。作業員3名が次亜塩素酸ナトリウム生成装置の点検、清掃作業中、発生した気体で排気管が破裂した可能性。
ひとこと:次亜塩素酸は誤混合で塩素ガスを発生することが知られている。化学物質による中毒や混触事例に関しては、厚生労働省の「化学物質による発生事例集」が参考になる。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei10/index.html

10月31日「バイオマス発電所での火災 緊急時の対応不備」大阪府
半田市のバイオマス発電所の燃料供給ラインに設置されている木質チップ供給機器の内部において火災が発生した。同社のHPによると原因は以下の通り。
発電設備の不具合により運転を非常停止した後、ボイラー内に残った木質チップを燃焼させるために、通風機により空気を流入させたため、ボイラ内の圧力が高まった。通常は運転停止時にはボイラー内のガスの燃料供給ラインへの逆流防止のために、ボイラーと燃料供給機ラインの間に逆火防止ダンパを設置するが、他設備の不具合への対応に追われて、仕切り板の設置に時間を要した。その結果、燃料供給ラインに設置されている木質チップ供給機器の点検口が開き、燃料供給ラインにボイラーからの熱が逆流したため、木質チップに着火・火災に至ったものと考えられる。

10月29日「再生ゴム工場で配管内のゴムとオイルの火災」広島県
広島県の再生ゴム製造工場で配管の火災が起きた。工場内の配管内部が焼け、従業員2名が熱風を浴びて顔などにやけどで軽傷を負った。熱で溶融したゴムとオイルをミキサで混合したものを冷却するために、配管に流込んだ際に配管が詰まり、その修理作業中に何かの原因で出火した可能性。

10月29日「キノコ製造工場の火災」長野県
長野県上田市のキノコ工場の製品梱包作業場の設備から出火し、鎮火に37時間を要した。工場2階には乾燥トウモロコシの芯を粉砕した培地の原料があり、火災拡大の原因ではないかとみられている。

10月25日「大学の実験室で金属ナトリウムの火災」京都府
京都府京都市の大学の有機合成化学実験室で金属ナトリウムの処理中に火災が起きた。消防車など22台が消火したが、同室の排気装置の一部や容器などが焼けた。けが人はなかった。学生らが金属ナトリウムを処理中に、何かの原因で出火した可能性がある。

10月26日「化学工場の混合タンクの誤作動での爆発 2人死亡」タイ
タイ東部プラチンブリ県の化学工場の薬品混合タンクで爆発があり、2名が死亡し、12名が負傷し、化学薬品が大気中に漏れ出し付近の住民200人あまりが一時避難した。界面活性剤の生産に使う化学薬品の混合タンクが誤作動で爆発した。

10月18日「リサイクル工場でドラム缶の切断作業中に爆発」宮城県
宮城県仙台市のリサイクル工場でドラム缶の切断作業中に爆発が起きた。同ドラム缶内にアルコールが残留しており、ガスバーナでドラム缶を切断中に、アルコール蒸気にバーナの火で着火した可能性がある。

10月16日{建造中のタンカータンク内で爆発}大分県
大分県大分市で建造中の5800トンのタンカーのタンク内で塗装作業中に爆発が起きた。作業員1名が全身やけどで死亡した。別の作業員1名が顔や手にやけどを負った。死亡した作業員は同タンカーのタンク内で塗装作業をしていた。可燃性ガスがタンク内に滞留し、何かの原因で着火した可能性。

10月15日「製糖工場のパルプ乾燥装置の火災」北海道
北海道士別市の製糖工場の砂糖生産ラインのビートパルプ乾燥設備より出火、施設周辺を損傷した。

10月11日「金属スクラップの火災」岐阜県
岐阜県各務原市の産業廃棄物を扱う会社で金属スクラップの火災。従業員1人が煙を吸って病院に搬送された。

10月10日「石油会社工場で硫化水素漏洩 2名死亡」米国
米国テキサス州ハリス郡ディアパークの石油会社工場で硫化水素が漏洩して2名が死亡し、5名が負傷者した。付近の幹線道路が通行止となった。

10月8日「化学会社で酸素欠乏症」福島県
福島県いわきの医薬品製造工場で、7人が酸素欠乏症と診断され入院した。被害者は粉状の原料から異物を取り除く作業に従事し。作業を終えて事務所に戻った際、複数人が体調を崩した。防護服やマスクを着用していたという。
ひとこと:詳細は分からないが、防毒マスクや防じんマスクを着用していたのではないかと推定される。これらのマスクは酸素を供給するものではないので、酸素欠乏場所での使用は不可である。

10月8日「ケミカルタンカーでの一人作業で中毒死」兵庫県
兵庫県神戸港に停泊中のケミカルタンカーのタンク内で船員1名が意識不明の状態で倒れ、その後死亡が確認された。タンク内に残留していたトルエンを吸って中毒となった可能性。タンカーはすべての薬品を荷下ろし後に、タンク内の洗浄をする予定で、当時タンク内の換気は未実施であった。また作業マニュアルでは、タンク内での作業は、2名1組で行うことになっていた。

10月7日「溶剤タンク清掃中の爆発 1人死亡」徳島県
徳島県鳴門市の化学品メーカー工場で農薬製剤製造ラインの切替作業中に火災、爆発が発生し、建屋および製造 設備の一部が損傷し、溶剤タンクを1人で洗浄作業をしていた作業者が死亡した。

10月2日「スプレー缶圧縮作業中に爆発」神奈川県
神奈川県海老名市のアルミニウム製品のリサイクル工場でスプレー缶の圧縮作業中に爆発が起き、同工場の従業員2名が頭などに軽傷を負った。爆発による飛散物の回収のため、付近の国道が一時交通規制された。

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