11月の化学火災(連続事故の背景 生産優先への反省も)
災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
11月27日「製材工場が全焼」和歌山県
和歌山県御坊市の製材工場で火事があり、鉄骨トタン葺き約1800平方メートルが全焼。隣接する別会社のサイロも全焼した。
御坊市では2023年4月にも製材所の火災が発生している。
11月24日「製鉄所で再度の爆発火災 生産優先の姿勢への反省も」韓国
11月10日に爆発火災が起きた大韓民国浦項市の製鉄所の、ファイネックス工場で再度爆発と共に火災が発生し、消防当局が2時間後に鎮火した。負傷者はなかった。
同社の会長は、目標生産量、営業利益、整備費節減など短期的成果にこだわったことが火災の連続に影響をしたのではないか、調べなければならないとのコメントを出している。
11月22日「化学工場からアンモニア漏洩」山口県
山口県宇部巣の化学工場でアンモニアガスを含む排ガスが配管から漏れ出た。漏出は直後に止まったが、関係会社社員4人が体調不良で病院に搬送された。。
11月21日「 金属スクラップ置き場での火災 バッテリー発火の可能性」北海道
北海道札幌市の産業廃棄物処理施設の金属スクラップ置き場付近で火災が発生した。消火後、焼け焦げた小型バッテリーが発見されている。
11月19日「自動車工場で試験中に一酸化炭素中毒」
大韓民国蔚山市北区の自動車工場の車両性能試験実験室内で、車両の試験中に一酸化炭素中毒が起きた。試験を行っていた3名が死亡した。死亡した3名は、工場内の車両1台が入る大きさの密閉された実験室内で性能試験中で、試験車両の空ぶかしの試験を行っていた。試験車両から大量の排気ガスが排出されたが、何かの原因で実験室の換気装置が正常に作動しなかったことで実験室内に排気ガスが充満し、一酸化炭素中毒が起きた可能性。
11月17日「製油所の硫黄回収装置の火災」北海道
北海道苫小牧市の製油所で、硫黄回収装置の付近から出火したがが、火はすぐに消火された。硫黄回収装置に接続した配管に亀裂があり、そこからガスが漏れて、何らかの理由で着火したとみられる。近くで作業していたとみられる従業員1人が煙を吸い、病院に搬送された。
11月13日「自動車の安全性評価中の火災」愛知県
愛知県豊田市の自動車工場研究所の開発品の安全性を確認する実験中に、実験用の車両1台が燃えた。
11月10日「製鉄所で爆発、火災」韓国
大韓民国浦項市の製鉄所で爆発、火災が起きた、約2時間後にほぼ消火された。工場内にいた従業員8名のうち1名が手足などに火傷を負って病院に搬送された。溶融炉事故の可能性が。
11月7日「小学校で理科の実験中に教員が転倒して塩酸が飛散」佐賀県
佐賀県唐津市の小学校で理科の実験中に教員が転倒して、濃度35%の塩酸約30mLが飛散した。飛散した塩酸が、転倒した教員と付近に座っていた児童2名にかかったが軽症だった。教員は延長コードに足を引っ掛けて転倒した。
11月5日「化学工場の屋上の太陽光発電設備の火災」石川県
石川県能美郡川北町の化学工場の屋上に設置された太陽光発電設備のパワーコンディショナーでスパークが発生し、出火した。太陽パネル等の一部を焼損した。
ひとこと:NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2014年度から2023年度までの10年間に発生した太陽光発電設備の事故は約200件で、パワーコンディショナーが火災発生個所の約7割を占めていた。施工不良以外では、設置環境(温度、湿度、水分、ほこり)などの要因による基板などのトラッキング現象による発煙が多い。
11月2日「自治体のリサイクル工場の火災 リチウム電池の可能性」広島県
広島県福山市のリサイクル工場の火災が発生した。搬入されたリチウム電池の発火が原因とみられる。
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