9月の化学火災(混触事故、静電気火災)
災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
9月29日「化学工場で火災による塩素系物質の環境中への拡散」米国
米国ジョージア州コンヤーズのバイオラボ工場のスプリンクラーヘッドが故障し、禁水性物質が水と反応し火災となった。火災で大量の煙が発生し、近隣市民に屋内への退避が呼びかけられた。
9月29日「花火大会で筒ばね」神奈川県
神奈川県秦野市の花火大会で筒ばねが起きた。けが人はなかった。市が打揚げを一時中断し、安全確認後に再開した。
ひとこと:筒ばねは打ち上げ筒内で花火が破裂するもので、全国火薬類保安協会によると2021年の花火の消費中の事故は22件で5人が負傷していた。
9月25日「金属リサイクル工場での火災」東京都
東京都西多摩郡瑞穂町の金属リサイクル工場の家電品処理施設で火災が発生した。
9月19日「塗装工程での静電気火災」三重県
三重県伊賀市のフィルム加工などを行う工場の、塗⼯機のフィルム搬送部の⼀部から静電気着火による火災が起きた。
9月14日「自動車部品工場加工設備の火災」静岡県
静岡県菊川市の自動車部品製造工場で加工設備付近より火災が起き、15時間後に鎮火した。
9月13日「食用油工場のタンク内での溶接作業中に爆発」千葉県
千葉県千葉市の食用油製造工場の直径約7m、高さ約6mの食用油のタンク内で溶接作業中に爆発が起き、従業員1名が死亡した。死亡した従業員は、別の従業員と2名で同タンク内の油の除去作業を行っていたが、その後1名で同タンク内に残り、溶接作業を行っていたとみられる。
9月13日「中学校で理科の実験中に塩素ガスによる中毒」山口県
山口県山口市の中学校で塩素系漂白剤に、薄めた塩酸を混合して塩素ガスを発生させる実験中に塩素ガスによる中毒が起きた。1年生の生徒8名が嘔吐や喉の痛みなどの体調不良となり、病院に搬送されたが軽症であった。教科書には、塩素系漂白剤と塩酸は混合しないように記載されていた。
9月12日「小学校で理科の実験中に塩酸による中毒」京都府
京都府京都市の小学校でビーカに入れたアンモニアと塩酸の臭いをかいで確かめる実験中に、塩酸の吸入による中毒が起きた。
9月12日「下水処理施設で補修作業中にガス爆発」大阪府
大阪府大阪市の雨水をためて下水処理場に送水するための貯水施設で、マンホールの補修作業中にガス爆発が起きた。同施設の建屋の一部が焼け、窓ガラスが破損して破片が周囲に飛散した。敷地内の車両が横倒しになった。業員と市職員、計4名が軽傷を負った。マンホールの周囲の隙間を埋める作業中に、汚水物から可燃性ガスが発生し、作業完了後に排水ポンプの試運転をした際に、可燃性ガスに着火した可能性。
9月11日「臭化水素を使った作業中に薬傷」愛知県
愛知県名古屋市のメッキ製品などの製造工場で、加熱した臭化水素を含む薬品で製品を洗浄する作業中、3人の従業員が臭化水素によりのどや目の痛みなどを訴えて病院で手当てを受けた。工場従業員50人は、一時近くの公園に避難した。
9月2日「病院で薬品の誤混合により塩素ガスが発生」広島県
広島県広島市の病院で薬品の誤混合により塩素ガスが発生し、約140名が病院の外に避難した。うち9名が喉の痛みなどで、他の19名が経過観察のため近隣の病院に入院した。透析装置の消毒液の補充作業をしようとした職員が、手順を誤り、次亜塩素酸ナトリウムと酢酸を誤混合した可能性がある。なお、この事故では誤って薬品を混合した臨床工学技士が書類送検された。
ひとこと;次亜塩素酸塩水溶液は酸性の液体と混合すると塩素ガスを発生する。厚生労働省や中央労働災害防止協会が事例集や取扱の要点などを発信しているので、参照されたい。
9月2日「スプレー缶圧縮作業中に爆発」神奈川県
神奈川県海老名市のリサイクル工場でスプレー缶の圧縮作業中に爆発が起きた。同従業員2名が頭などに軽傷を負い、うち1名が病院に搬送された。
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