8月の化学火災(落雷による工場の損害は少なくない)
災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/)ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
8月31日「原子力発電所のタンク溶断中に火災」福井県
福井県敦賀市の原子力発電所で火災が発生した。放射線管理区域外の給水処理建屋内のタンクをガスバーナで解体中に、タンク内にある腐食防止用のゴムに着火した。近くにいた作業員が消火器で消し止めた。
8月30日「工場火災で国道が通行止め」宮城県
宮城県仙台市の鉄道用工事車両の製造、整備を行う工場の火災で工場が全焼し、工場内にあったショベルカーやトラックが焼けた。火災の影響で国道が通行止めになったほか、JR仙石線が一時運転を見合わせ、乗客約800人に影響が出た。
8月29日「猛暑により有機過酸化物コンテナが爆発、火災」タイ
タイのレムチャバン港の施設のコンテナに保管されていた有機過酸化物が、猛暑により分解して爆発した。作業員20名がめまい、目の痛みなどを訴え病院で手当てを受けた。火は約1時間後に鎮火した。
8月28日「機械工場で保管物が水と反応して発煙」兵庫県
兵庫県明石市の機械工場で発煙が生じた。工場内の約30トンの化学物質の一部が水と反応して発熱し発煙した可能性。発煙による人体などへの影響はない。
ひとこと:工場や試験・研究所には様々な化学物質が保管され、操業に使用されることもある。化学工場や金属工場ではアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウムなどが原因となる。また、消防法では禁水性物質が規定され、消火剤として炭化水素塩類等を用いた粉末消火剤などが推奨される。
8月25日「木材加工工場で粉じん爆発」秋田県
秋田県北秋田市の木材加工工場で火災が発生し、集じん機などを焼損した。集じん機の稼働中に複数回の爆発音が確認され、木屑による粉じんが連続的に爆発した可能性。
8月23日「製油所で落雷による火災」岡山県
岡山県倉敷市の製油所で火災が起きた。落雷により重油タンクに油を移送するポンプヤードから出火した可能性。出火当時、地域には大雨洪水警報や雷注意報が発表されていた。
ひとこと:生産施設での落雷被害は火災、停電による操業影響があり、少し古いが、ニ次災害を含めた年間の雷被害総額は1,000億円から2,000億円と推定されている(電気学会技術報告第902号:2002年)との報告もある。
8月21日「セメント工場でベルトコンベヤの火災」岩手県
岩手県大船渡市のセメント工場で、セメント原料の石こうを貯蔵庫に移送するためのベルトコンベアで火災が発生し、建物の一部が焼けた。この工場では今年4月にもベルトコンベヤーが焼ける火事が起きていた。
8月21日「金属加工工場で火災」新潟県
新潟県新潟市の金属の熱処理を行っている工場で火災が発生し、工場内部と壁を焼いた。
8月20日「金属加工工場で焼入油の火災」新潟県
新潟県三条市の金属加工工場の焼入炉で火災。炉内の焼き入れ油の電気火災と思われる。
8月20日「工場の火災で民家が延焼」新潟県
新潟県三条市の紙箱をつくる工場で火災が発生し、工場建屋と周辺の民家計6棟が全焼し、3棟が部分焼した。工場の周辺は民家が密集していた。
8月19日「化学工場で粉砕機の火災」新潟県
新潟県糸魚川市の化学工場内のセメント工場での火災。セメント粉砕機のモータから出火したが自主消火し、延焼はなかった。
8月17日「製油所の廃油タンクからの漏洩」北海道
北海道苫小牧市の製油所構内にある廃油タンクの屋根にたまった雨水を排出する配管から油が漏出した。漏れた廃油は、19キロリットルで、製油所の敷地外への漏出はなかった。
8月10日「バイオマス発電所で火災」新潟県
新潟県村上市の小型の木質バイオマス発電所の敷地内で、積んであった木材やチップなどが焼け、周辺の枯れ草にも燃え広がった。発電設備とは別の屋外の焼却炉から木材などに飛び火したとみられる。
8月9日「災害廃棄物仮置場での火災」秋田県
秋田県秋田市の豪雨災害による災害廃棄物仮置場で火災が発生した。可燃性の災害廃棄物が焼け、近くの山林に延焼した。
8月7日「穀物サイロで小麦を移送中に粉じん爆発」トルコ
トルコ北西部デリンジェの港で、小麦を船からサイロに移送中に粉じん爆発が起きた。爆発で9名が負傷し、うち3名が重体。港にある60棟のサイロのうち13棟が損傷し、およそ1万5,000トンの穀物が損害を受けた。
8月3日「ロケット推進薬原料の廃棄作業中に爆発」台湾
台湾屏東県の国の研究機関で、余ったロケット推進薬の廃棄作業中に爆発が起きた。作業員4名がやけどを負って病院に搬送され、うち1名が全身やけどで重体、また1名が重傷。
ひとこと:火薬類を焼却処理する場合、火薬では湿潤して少量ずつ処理することが必須。
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