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最新!化学事故情報

4 月の化学火災(保護具未着用で被害拡大 学校の実験で)

災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

4月29日「化学工場で溶剤注入中に火災」群馬県
群馬県安中市の化学工場で、ドラム缶にトルエンを含有するシリコーンを詰める作業中に火災が発生し、下請け会社の作業員1名が顔と手に火傷を負った。
ひとこと:化学工場では反応器や容器に原料や製品、溶剤などを移送する段階での火災、爆発が多い。着火源の大部分は静電気で、これらの作業では除電が必須である。

4月27日「中学校で理科の実験中に水酸化ナトリウム水溶液が飛散」愛知県
愛知県名古屋市の中学校で、水酸化ナトリウム水溶液を電気分解して水素を発生させる実験中、教諭が発生した水素に点火棒で着火した際に破裂し、水酸化ナトリウム水溶液が飛散。周囲にいた生徒5名の顔や衣服にかかり、うち1名の目に入ったため病院で治療を受けた。視力などへの影響はなかった。実験のマニュアルでは保護めがねを着用することになっていたが、ほとんどの生徒がマスクをしていたため、保護めがねが曇ると安全でないと教諭が判断し、生徒に保護めがねを着用させていなかった。
ひとこと:水酸化ナトリウムは角膜を腐食するため、視力の低下や失明することがある。保護メガネは必須であり、目や皮膚についた時には15分以上洗浄した後、すぐに医者の診察を受けることが必須である。

4月21日「金属製品工場での火災」山口県
山口県宇部市の鉄鋼工場で火災が発生した。火災は鉄を溶かした時にでる不純物を加工する設備の粉砕設備付近で、漏洩した燃料に着火した可能性。2時間後に鎮火したが、粉砕設備の一部が焼損した。

4月21日「工場で溶接中の火災」福岡県
福岡県那珂川市の鉄筋などを扱う工場で火事があり、従業員1人が火傷を負った。鉄筋を溶接する作業をしていたところガスに引火した。

4月20日「織物工場の火災で国道が通行止め」石川県
石川県中能登町の繊維工場で火災が発生し、工場を全焼した。この火災で近くの国道が一時通行止めとなった。電気系統の不具合で機械から出火した可能性

4月19日「化学工場で排水溝に滞留した可燃性ガスへの着火火災」新潟県
新潟県糸魚川市の化学工場で火災が起きた。可燃性ガス製造設備に設置された排水溝に可燃性ガスが滞留し、着火した可能性。工場内で作業中であった協力会社作業員1名が髪を焦がすなどしたが軽傷。4月16日に続く火災で、市の消防が緊急の立ち入り検査を実施した。

4月18日「工場ダクトでの火災」静岡県
静岡県浜松市の金属加工工場のダクトから出火し、工場内の天井裏などが燃えた。約3時間後に鎮火した。

4月17日「工場火災で11人が死亡」中国
中国浙江省武義県の板戸やペンキ、包装材などを製造する工場で火災が発生し、工場建屋の3階に閉じ込められた従業員11人が死亡した。

4月17日「造船所で爆発、7人が死亡」中国
中国湖北省鐘祥市の造船所で爆発事故があり、工員7人が死亡、5人が負傷した。塗装作業中に噴霧された塗料に着火し、爆発につながったとみられている。死者7人のうち3人はその場で死亡し、2人は当初行方不明となり、その後遺体で見つかった。他の2人は病院搬送後に死亡した。密閉空間で塗装作業中、霧状の塗料に他の工員が行っていた溶接の火が着いたとみられるという。

4月17日「大学の研究室で実験中に爆発 保護具未装着で火傷」広島県
広島県広島市の大学の理学部で実験中に爆発が起きた。大学院生が1名で、カリウムやアンモニアを使用した実験をしており、実験に使用したビーカをエタノールで洗浄中に引火した可能性。顔や右目に大けが(やけど)をした。
化学実験で付けるべきゴーグルや保護面が未装着であったと思われる。

4月16日「化学工場のカーバイド製造設備で火災」新潟県
新潟県糸魚川市の合成ゴムや半導体原料などを製造している工場で火災が発生した。カーバイド製造設備の計装機器から出火した。

4月16日「プラスチックリサイクルで火災」栃木県
栃木県鹿沼市のプラスチックリサイクル工場で火災が発生し、作業場3棟など2,765平方メートルを焼損した。鎮火に10時間を要した。

4月10日「リサイクル施設で火災 焼け跡からリチウム電池」
埼玉県さいたま市の不燃ごみ処理施設で火災が発生し、ごみ選別装置と残渣搬送コンベヤーが焼損した。焼け跡からリチウムイオン電池とスプレー缶がそれぞれ複数個見つかった。

4月10日「酒造工場で火災 4人死亡」中国
中国四川省瀘州市の酒造工場で火災が発生し、4人が死亡した。工場では数回の爆発音が生じ、建物は火に包まれ2時間後に鎮火した。周辺住民が一時避難した。

4月2日「工場リサイクル工場で溶接作業中に火災」静岡県
静岡県浜松市のリサイクル工場敷地内から出火、作業員が軽いやけどを負い、倉庫兼作業場の平屋をほぼ全焼し、3隣接する会社の作業場にも延焼してほぼ全焼した。
火災発生時には溶接作業中であった。

4月1日「アルミニウム加工工場でドラム缶切断中に爆発」富山
富山県射水市のアルミニウム加工工場での爆発で作業中の従業員が重傷を負った。不要となった鋼製のドラム缶を屑入れとして利用するため、溶断していた。
ひとこと:使用済みのドラム缶や塔槽類の解体や切断では、内部に残存する可燃物が気化して爆発する危険性がある。可燃性液体を入れていた容器の切断では、内部に水や窒素を入れ空気を追い出すことが必要である。

4月1日「製油所の火災 配管老朽化が原因」インドネシア
インドネシアリアウ州ドゥマイにある製油所で爆発火災が起きた。爆発音とともに火が燃え広がったが、緊急停止システムが稼働して水素ガスのコンプレッサーを緊急停止して火は約30分後に鎮火したが、9人が負傷した 
出火原因は老朽化した水素パイプの破裂。水素送気パイプは1982年製が最新で、古いパイプは敷設から約半世紀が過ぎており、経年劣化が進んでいた。

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