7月の化学火災(猛暑で自然発火火災が発生
災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
7月31日「暑熱によるサイロ内の穀物の自然発火火災と倉庫の倒壊」レバノン
レバノン・ベイルート市で、2020年8月に起きた硝安の大爆発で損傷した穀物サイロの一部で火災が発生した。高さ約48mのサイロ内に、爆発後も放置されていた穀物数3000トンが、夏季の気温上昇により発酵し、蓄熱して自然発火し火災となった。火がくすぶり続けたため、爆発で損傷した部分がもろくなり、約2週間後にサイロが倒壊した。
7月31日「暑熱での産業廃棄物処理工場の火災」広島県
広島県福山市の廃棄物処理施設で火災があり、倉庫約1,000平方メートルが全焼した。段ボール箱に入れて倉庫に保管されていた廃プラスチックが、暑熱によって発熱により自然発火し、倉庫内の廃油や廃プラスチックに延焼した可能性。
7月31日「花火大会で打上花火が地上で燃え火災」富山県
富山県射水市の花火大会で、地上で開発(花火玉に火がついて開くこと)したため枯草に着火し、枯れ草560平方メートルが燃え、打揚従事者2名がやけどを負った。この花火大会は新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催で、これまで打揚は海上の台船上で行われていたが、今年は台船が手配できず、陸上で打揚げていた。会場には約5万人の観客がいたが、開始後約8分で事故が発生し、花火大会はそのまま中止となった
7月28日「製鋼所の溶融炉のアルミニウムが燃焼」栃木県
栃木県真岡市の製鋼所の場内で金属加工の際に出る金属片を集めるホッパコンベア付近から出火した可能性。高温のアルミニウムやアルミニウム粉末には放水ができないため、鎮火に時間を要した
7月25日「アルミニウム粉末取り扱い中の粉じん爆発」静岡県
静岡県静岡市の金属会社の技術センターで、アルミニウムの粉末で粉じん爆発が起き社員1人が顔と腕などにやけどを負った。アルミニウムの粉末を3D プリンターで成型するための開発・研究を行っていた。
7月12日「廃棄物処理施設の粗大ごみピットで火災」北海道
北海道室蘭市の粗大ごみピットで火災が発生し、初期消火したが、翌日ピット内の燃え残りからくすぶりが生じた。消火時に残り火があったものと思われる。
7月9日「ゴム製品製造工場が全焼」愛知県
愛知県春日井市の工業用ゴム製品や樹脂製品を製造している工場で火災が発生し、工場建屋1355平方メートルを全焼した。なお、火災発生時は操業時間外であった。
7月8日「産業廃棄物処理施設で深夜に火災発生」岡山県
岡山県岡山市の産業廃棄物中間処理施設で深夜に火災が発生し、野積みされていた廃プラスチック900立方メートルと油圧ショベル2台と破砕機1台が焼けた
7月3日「火力発電所のガスタービン起動装置で火災 発電は継続」新潟県
新潟県北蒲原郡の火力発電所のガスタービン起動装置の潤滑油タンク上部から出火した。ただちにガスタービンの運転を停止し、初期消火で鎮火した。残り2台のタービンにより発電は継続された。なお、千葉、新潟と火力発電所の火災が続いたことで、火災など事故での電力供給上のリスクが指摘された。
7月2日「火力発電所で配管から油が漏洩して火災 4日後に運転再開」千葉県
千葉県千葉市の火力発電所で発電機の蒸気タービン蒸気弁の制御油配管から油が漏洩し、何かの原因で火災となった。漏えい箇所を修理し、4日後に運転再開した。
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