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最新!化学事故情報

2020年6月前半の化学火災(過去の事例のフォローも掲載)

災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/)ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。なお、海外での重大事故や国内で類似火災の可能性がある例なども掲載する。

・インド化学工場のスチレン漏洩(5月7日)により13人が死亡したとの報道を紹介したが、スチレンの急性毒性(吸入:ガス)では分類対象外、急性毒性(吸入:蒸気)では区分4であり、ガスや蒸気の吸入による死亡事例は見当たらない。
・青森の清掃工場の破砕選別処理設備の火災(5月25日)の火災に関する青森消防本部の調査で、出火原因は特定できなかったものの、携帯電話のリチウムイオン電池を破砕した際、可燃性のごみに着火し燃え広がった可能性が高いとの報告があった。

6月14日「自動車部品工場で配電盤火災」三重県
三重県鈴鹿市の自動車部品製造工場で設備停止中の溶鉱炉に接続された配電盤の通電確認中に配電盤が短絡して、発生した火花が周囲に飛散して社員1名と派遣社員1名がやけどで重傷を負った。

6月12日「化学工場の倉庫火災で有毒ガスが発生」富山県
富山県富山市の化学工場の倉庫から火災が発生しおよそ4時間後に鎮火したが、塩素性の煙が発生したため、付近の住民に外出を控え、窓を開けないよう注意を呼びかけた。燃えたのはプールの消毒用塩素剤で倉庫内に保管されていた。工場では塩素化イソシアヌル酸を含む薬剤が消毒剤として生産されていた。
ひとこと:
プールなどの消毒で使用されている主な塩素剤は、以下の4種類である。
①次亜塩素酸ナトリウム
②次亜塩素酸カルシウム
③塩素化イソシアヌル酸
④二酸化塩素
塩素化イソシアヌル酸はイソシアヌル酸(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオールC₃H₃N₃O₃)に1〜3個の塩素原子を付加した物質

6月10日「半導体関連工場の火災」韓国
韓国仁川市の半導体部品製造工場で火災があった。人的被害はなかったが、工場内の設備などが燃えた。
ひとこと:2018年8月には仁川の電子部品メーカーの工場火災で9人が死亡した。同年には仁川の感光材原料工場でも火災が発生し、6人が被災している。

6月10日「化学工場の設備解体中の爆発」滋賀県
滋賀県守山市のリチウムイオン電池のセパレートフィルムを製造する工場で爆発がおき、従業員1人が死亡した。被害者は老朽化した製造設備の解体作業を行っており、フィルムを洗浄用溶剤用のステンレス容器の溶断作業をしていた。溶剤が残留していて、切断時に火花が引火した可能性がある。
工場内にいた関係者ら約400人が一時避難した。
ひとこと:絶縁油タンクや溶剤用のドラム缶など、可燃物の入った金属容器の解体中の爆発事例は少なくない。作業前に内容物を除去しても、残存物が溶断の熱で気化して爆発性混合気を生成することがある。可燃性の液体が入っていた設備や容器の解体の前には、内部を窒素や水で満たすことが必要である。

6月3日「清掃工場の火災」東京都
東京都多摩市の清掃工場の不燃ごみピットで火災が発生した。ピット内のごみ400立方メートルが焼け、6時間後に鎮火した。ゴミ中のリチウム電池から発火したとの報道もあるが、原因は不明とのこと。

6月2日「機械工場の火災で周辺民家へ延焼」新潟県
新潟県上越市の金属研磨工場で火災が発生した。出火時は終業後で無人であったが、工場を全焼し、近隣のアパートやコンビニエンスストアなどを含む6棟に延焼した。

6月2日「廃棄物処理施設の火災」徳島県
徳島県三好市の廃棄物処理施設から出火し、敷地内の産業廃棄物など約900平方メートルを焼き、約1時間半後にほぼ鎮火した。

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