2020年4月後半の化学火災 コロナ後の操業再開で事故増加・・中国
災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/)ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。なお、海外での重大事故や国内での類似事故防止に役立つと思われる例なども紹介する。
4月30日「コークス製造工場での爆発」中国
内モンゴル自治区オルドス市のコークス工場で、パイプラインから石炭ガスが漏れ炎上した。事故直後に従業員4人が救出されたが、3人が死亡、1人がけがした。
ひとこと:中国では新型コロナウイルスの沈静化後、工場の操業再開とともに、爆発などの事故が頻発しているとのことである。4月21日の事故以外にも、4月9日には山西省太原市のクレーン工場で爆発があり、作業員7人が死傷した。
4月29日「倉庫火災で有毒ガス発生」韓国
韓国京畿道利川の物流倉庫の工事現場で爆発を伴う火災が発生し、38人が死亡した。断熱材のウレタンフォームの吹き付け時に溶接の火花が引火し、建物内に有毒ガスが充満したとみられる。倉庫は地下2階、地上4階建ての冷蔵用で延べ床面積1万平方メートル。
韓国産業安全衛生公団(KOSHA)は、工事前の書類審査や現場査察により「火災の危険性」を施工会社と発注会社に対し指摘していた。
ひとこと:ウレタンなど分子内に窒素を含む物質は、燃焼条件によってはシアン化水素が発生する可能性がある。
4月23日「ゴミ堆積場での火災頻発」タイ
バンコク北郊パトゥムタニ市郊外のごみ投棄場で火災が発生した。積み上げられたごみの山から火が上がり、周辺が白煙に包まれた。
タイでは増え続けるごみの焼却やリサイクルが追いつかず、投棄されたごみが各地で堆積しており、堆積ごみが発酵や油類の酸化熱などによって火災となる例が頻発し、4月以降だけでも、東部プラジンブリ県、西部カンジャナブリ県、北部のラムパン県とウタラディット県のごみの山で火災が発生している。
ひとこと:国内では2011年の東日本大震災後、野積みされた震災ごみが東北地方の各所で火災を引き起こした。その多くが生ごみなどの発酵熱によるものではないかと推定された。このような蓄熱火災は堆積量が大きくなると相対的に放熱しにくくなり、火災リスクが高くなる。
4月21日「化学工場で爆発」中国
江蘇省連雲港市の研磨材工場の炭化ケイ素製造プラントで爆発・火災が発生した。爆発は連続して3度起きたが、同工場には作業者に死傷者はなかった。
ひとこと:炭化ケイ素自体は燃焼しないが、吸引すると発がんや呼吸器障害の恐れがあり、職場環境整備が必要である。
4月15日「ゴミ収集車で火災」静岡県
静岡県湖西市内で、不燃ごみ回収中の収集車から発火する事故が2件発生した。市によると、回収したごみから、リチウムイオン電池入りの携帯充電器、ライター、カセットコンロ用のボンベなどが見つかった。3月にも同様の火災が起きている。
4月15日「織物工場で火災」兵庫県
兵庫県西脇市の織物工場で織機から火災が発生し、木造平屋建ての工場約770平方メートルが全焼した。
保安力向上センター