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最新!化学事故情報

6月の化学火災(放水消火が困難な火災が複数発生)

災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

6月26日「化学工場で可燃性の有機物の火災」福島県
福島県⽥村郡三春町の化学会社の有機試験⼯場で火災が起き、従業員の初期消火により消し止めた。建屋への延焼はなかった。可燃性の有機物を容器への充塡中に漏洩し、空気に触れて発火した可能性がある。

6月24日「リチウム工場火災 23人が死亡 放水が火災を拡大」韓国
韓国華城市の電池製造工場の電池35000個以上が保管されていた倉庫でバッテリーセルが爆発し、火災になった。工場内に保管されていた電池はリチウムなどを使用したもので、火は直ぐに広まった。工場内では複数の爆発が発生し、白い煙に包まれた。最初の爆発時に倉庫内では100人前後の従業員が作業していた。この火災で屋根の大部分は崩落し、爆発により周囲にはコンクリートの破片が飛散した。リチウム電池の熱暴走が起因であり、消防による放水消火が爆発火災を拡大させた。

6月21日「中学校で理科の実験で硫化水素発生」埼玉県
埼玉県鶴ケ島市の中学校で硫化水素を発生させる理科の実験後、生徒23名が吐気や頭痛でなどで体調不良になった。硫化鉄が入った試験管に塩酸を加え、硫化水素を発生させる実験を行っていた。同室では複数台の換気扇を稼働させていたが、雨天のため窓は開閉を繰返していた。

6月21日「リサイクル会社の金属スクラップの火災」岡山県
岡山県津崎市のリサイクル会社の資材置場で金属スクラップの火災が起きた。約2時間10分後に鎮火したが、同置場に野積みされていたタイヤホイルや金網、鍋などの金属スクラップが焼けた。社員は退勤後で無人であった。

6月21日「段ボール工場で機械火災 消火活動の社員8人が病院搬送」長野県
長野県安曇野市の段ボール工場で火災が起きた。段ボールの印刷機と集塵機などが焼けた。消火活動にあたった従業員8名が煙を吸って病院に搬送されたが軽傷であった。

6月19日「製紙工場のタイヤチップ集積所で火災」秋田県
秋田県秋田市の製紙会社で、工場のボイラ燃料として使用されているタイヤチップの集積所で火災が発生し、タイヤチップが焼けた。

6月18日「化学工場で配管から可燃性溶剤が漏洩」愛知県
愛知県名古屋市の化学工場の配管から引火性液体であるポリプロピレングリコール約50リットルが漏洩した。着火の危険性があるため、消防車17台が出動した。

6月17日「めっき工場で混触での有害ガス発生」愛知県
愛知県刈谷市の自動車のメッキ工場で有害ガスが発生し、警察や消防が同工場や周辺の工場の従業員などに避難を呼びかけ、工場から半径300m以内の範囲を封鎖した。めっき加工に使用する硫酸ニッケルや次亜リン酸ナトリウムなどを含む無電解ニッケルめっき液が入ったタンクに、誤って硝酸を投入したため、高濃度の窒素酸化物が発生した。

6月16日「中学校で理科の実験で硫化水素発生」埼玉県
埼玉県川越市の中学校で、硫黄と鉄を混合して加熱し、硫化鉄を合成する実験中に生徒5人が体調不良となった。理科室のドアや窓は開放し、複数の換気扇を稼働させて換気を行っていた。

6月11日「電子部品工場で粉じん爆発」福島県
福島県いわき市の電子部品製造工場で火災が発生した。亜鉛末工場で分級ファンを回そうとした時に異音がし、その後爆発した。1名が重傷を負い、3名が軽傷。
ひとこと:亜鉛粉末による粉じん爆発事例は多く、着火源の除去、清掃による2次爆発の抑制などが必須であるが、粉じん爆発の危険性教育が重要である。

6月10日「工業用ゴム工場で火災 燃え残りから再火災」神奈川県
神奈川県寒川町の工業用ゴムなどを製造する工場で火災が発生した。工場が全焼。クッションマット製造ラインなどが一部焼失した。大量の煙が発生したため、近隣住民約80名が一時避難した。
また、14日には火災で燃え残ったゴムチップから出火して再度火災となった。

6月8日「リサイクル工場で金属スクラップの火災」埼玉県
埼玉県久喜市の自動車部品リサイクルや家電製品などの産業廃棄物の収集などを行っている工場で火災が起きた。金属スクラップなどの置場約800平方メートルが焼けた。

6月7日「中学校の実験中にエタノールに着火」広島県
広島県三次市の中学校で教員が持っていたエタノール入りの容器に、生徒が熱した銅板を浸けたところエタノールに着火し、消火しようとした際に容器が床に落下した。生徒2名にエタノールがかかり、火傷を負った。

6月6日「薬品の誤混合で塩素ガスが発生?」静岡県
静岡県清水市の油圧機器工場で塩素が発生し、従業員1名が頭痛などで体調不良となった。
ひとこと:報道では次亜塩素酸ナトリウムとアルカリ性物質を約20Lを誤って混合したため塩素ガスが発生し、従業員1名が頭痛などで体調不良となったとのことだが、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性であり、強アルカリの苛性ソーダと混合しても危険はない。次亜塩素酸ナトリウムは酸性物質との混合では塩素が発生する。

6月6日「造船所で船舶の溶接作業中に爆発 監督責任者が不在」大阪府
大阪府大阪市の造船所で爆発が起きた。船内では修理のための溶接作業と清掃が行われており、溶接作業の近くで可燃性ガスを含むスプレーを使用したため、溶接の火花で着火した。事故当時、火気作業を行う際の監督責任者が不在であった。作業員7名が負傷して病院に搬送された。

6月4日「太陽光発電施設で太陽光パネルの修理中に火災」愛媛県
愛媛県宇和島市の太陽パネル施設で、不具合の出たパネルの部品交換中に火災が発生し、太陽光パネル1枚と周辺の草など約50平方メートルが焼けた。
ひとこと:太陽パネルの火災が頻発している(2024年3月鹿児島、4月北海道、、仙台、群馬)。太陽光発電施設には蓄電池が設置されており、放水により短絡や感電の危険があるほか、可燃性電解液による火災拡大など、消火活動では丁寧な対応が必要である。

6月3日「アルミニウム加工工場で火災」岐阜県
岐阜県大垣市のアルミニウム加工会社での火災。集じん機の修理のため溶接作業をしており、溶接の火花で周辺のアルミ粉などに着火した可能性。従業員1名が煙を吸って病院に搬送されたが軽症。
ひとこと:日本溶接協会ではジルコニウム、アルミニウムマグネシウム、亜鉛といった金属粉末の溶接火炎による着火に関する注意を呼び掛けている。

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