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最新!化学事故情報

11 月の化学火災(過酸化水素水の爆発)

災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

11月30日「電気部品製造の塗装工場で火災」岐阜県
岐阜県中津川市の産業用換気扇やハンドドライヤなどを製造する工場の塗装工場での火災。換気扇の金属部分へのポリエステル粉末の吹付塗装作業後に、集塵機から出火した可能性。

11月29日「消毒用過酸化水素水の異常反応とみられる爆発」熊本県
熊本県天草市の消毒用過酸化水素水を販売していた店舗で火災が発生し爆発が起きた。火災の熱により過酸化水素水が分解した可能性。消火中の消防士と消防団員計15名がやけどなどで負傷し、2名が病院に搬送された。
ひとこと:消毒用過酸化水素は通常30%程度の水溶液を3%程度に希釈して販売される。30%過酸化水素水は薬傷や目に入ると失明の危険があるが、常温では分解の危険性は少ない。今回の事例のように高温にさらされたり、金属化合物との接触で急激な分解が起きる危険性はある。1999年に28%の廃過酸化水素水を輸送中のタンクローリーが爆発した。タンクローリー内に事故前に輸送した塩化銅の残渣があり、その触媒作用で分解爆発したものである。

11月21日「工場で規定違反の溶接作業で火災 38人死亡」中国
中国河南省の金属製品や建築資材、衣料品などを扱う工場で大規模な火災が発生し、38人が死亡した。工場1階で規定に違反して行われた電気溶接が出火の原因となり、2階の工場の綿製品に延焼して2階にいた従業員が逃げ遅れた。

11月21日「化学物質を保管する倉庫で火災」福岡県
福岡県北九州市の海運会社の倉庫1棟が全焼した。倉庫には消防法危険物である自動車部品用の化学物質が入ったドラム缶などが保管されていた。黒煙が発生し、鎮火に7時間を要した。

11月16日「港湾施設内で野積みされた中古タイヤの火災」沖縄県
沖縄県浦添市の港湾施設内に野積された中古タイヤの火災。黒煙が上がり輸出用に保管していたクレーン用中古タイヤ数十本が焼失した。

11月7日 「石炭供給用エレベータの補修中の火災」広島県
広島県大竹市の化学工場で、定期修理中に火災が発生し、ボイラーへの石炭投入用のバケットエレベータが焼損した。火災発生時に工場は稼働しておらず、バケットエレベータの溶接補修作業中に、エレベータ内の石炭の残渣に溶接火花で着火した可能性。

11月6日「製鉄所の排水からシアン検出」千葉県
千葉県君津市の製鉄所で排水からシアンが検出された。シアンは2018年以降、排水口から42回が検出されていた。2022年9月に千葉県に再発防止策を提出し、二重のシアン処理や流入防止措置などの対策を講じていたが、再度シアンが検出された。

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