2021年6月後半の化学火災(有害物の漏洩で中毒、薬傷・・3件)
災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース 現在セキュリティ強化のため公開停止中)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
6月25日「紙製品製造工場で火災」静岡県
静岡県富士宮市の製紙工場で火災が起き、タンク内のパルプなどが燃えた。円柱状のタンク内ではパルプを粉砕していたとみられる。建物への延焼はなかった。
6月23日「岐阜・電子部品工場の電気炉で火災」岐阜県
岐阜県大垣市のシリコン半導体製造装置部品の製造工場で、黒鉛溶融用電気炉から火災が発生した。放水すると水蒸気爆発を起こす可能性がるため、炉内の空気を遮断して約2時間半後に消火した。工場天井部などを焼損した。
6月22日「廃棄物処理工場でアセチレンガスボンベ圧縮中に爆発」岐阜県
岐阜県岐阜市の金属リサイクル工場で、プレス機でアセチレンガスボンベを圧縮する作業中に、ボンベを誤って切断し、ボンベ内に残留していたアセチレンが漏洩して金属火花で着火爆発した。従業員1名が火傷を負ったが軽傷。
6月21日「化学薬品工場で臭素をトラックからタンクに移送中に漏洩して薬傷」
広島県福山市の化学品製造工場で、タンクローリーからタンクに臭素を移送中に漏洩した。タンクローリー上部のフランジを緩める作業を行ったところ、緩めたフランジ部から臭素が漏洩し、2名が喉の痛みなどで病院に搬送されたが軽症。直ちにフランジを締め直すとともに、漏洩した臭素を消石灰で処理した。
6月21日「ねじ工場で金属洗浄用の硝酸が漏洩して薬傷」東京
東京都青梅市のねじ工場で、金属洗浄用の硝酸を入れたポリタンクが腐食して硝酸が漏洩した。ポリタンクを移動させようとして底が抜け、運んでいた1人と、素手のまま雑巾で硝酸を拭取った7名が、薬傷や体調不良を訴え病院に搬送されたがいずれも軽症。
硝酸は金属の洗浄に使用されていたが、現在は使用しておらず、長期間放置されていた。
6月18日「アルミ製造プラントの火災」静岡県
静岡県静岡市のアルミニウム鋳造工場から黒煙が上がった。排煙措置をし、従業員への被害はなかった。
同工場では2016年10月に炭素製品の黒鉛化処理中に熱処理炉内で爆発が発生している。
6月17日「中学校の理科の実験で硫化水素が発生」佐賀県
佐賀県杵島郡大町町の中学校で、鉄と硫黄の化合物を加熱して塩酸を加え、硫化水素を発生させて臭いを確かめる実験で生徒の体調不良を起こした。授業を受けた生徒のうち13名が体調不良となり、1名が病院に搬送されたが、全員軽症であった。
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