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最新!化学事故情報

2020年10月前半の化学火災(実験中、解体、修理中の事故)

災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/)ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。安全専門家によるひとこと情報も掲載。

10月13日「火力発電所で潤滑油タンクの火災」北海道
北海道胆振管内厚真町の火力発電所で、定期検査のため運転停止中の発電設備建屋内の潤滑油タンクで火災が発生した。ベルトコンベアで石炭を移送、選別、粉砕する装置もあり、点検作業中に出火した可能性。

10月13日「バイオマス発電所で火災」福岡県
福岡県北九州市のバイオマス発電施設で火災が発生した。燃料輸送ベルトコンベアから出火し、ほぼ4時間後に鎮火した。同施設は、廃材や間伐材を使った木質ペレットを石炭と混ぜて燃料にする木質バイオマスの発電所。出火当時、発電所は稼働中だった。

10月12日「廃業した化学工場で爆発」中国
四川省楽山市にある廃業した化学工場で爆発とともに煙が上がり、刺激臭が漂った。現場にいた作業員は直ちに避難した。爆発とともに黒煙が区内全域を覆い、有毒な気体が漏れ出る恐れがあるとして、住民の一部が避難した。

10月7日「原子力関連研究施設補修作業中に爆発・・手順不遵守」茨城県
茨城県東海村の核融合炉物理実験棟に設置されたポンプ室消火栓の水槽の修理前に、脱脂のため有機脱脂洗浄剤を噴霧し、ヒートガンの熱風で乾燥させていたため、滞留していた有機溶剤がヒートガンの熱風で火災となった。この施設の作業手順では、有機溶剤使用後の室内でのヒートガンの使用は認められていなかった

10月2日「猛毒の硫化水素の発生実験で体調不良」岡山県
岡山県津山市の中学校で、試験管内で硫化鉄に塩酸を加えて硫化水素を発生させ、臭いを嗅いで確かめる実験中に事故が起きた。生徒の悪ふざけで試験管内の薬品がこぼれ、硫化水素を吸引した生徒7名が実験後に体調不良となった。別の生徒2名が試験管に鼻を近づけて臭いを嗅ぎ体調不良となった。
ひとこと:硫化水素は10ppm程度の低濃度では異臭がするが、体に悪影響を及ぼす濃度になると、臭神経がマヒしてにおいを感じなくなる。700ppm以上では死に至る危険があり、数千ppm以上では即死する。このような危険な物質を取り扱う実験が教材として取り上げられる、生徒や教員の健康・安全の面から大きな問題である。

10月1日「化学繊維工場でタンク解体中に爆発・・内容物の確認不足」兵庫県
兵庫県加古川市の繊維工場で、電動のこぎりを使用して二硫化炭素タンクの解体作業中に爆発が起きた。配管部分の切断中に、タンク内に残留していた二硫化炭素が電動のこぎりの火花で着火した可能性。解体作業をしていた従業員1名が死亡、1名が軽傷を負った。工場では二硫化炭素をレーヨン製造の原料として使用していたが、同タンクは約10年使用されておらず、内部の二硫化炭素の残留を確認せずに解体作業を行った。
ひとこと:二硫化炭素は消防法の四類危険物のなかで、最も火災危険性の高い特殊引火物に分類されている。特に、二硫化炭素は引火点が低いだけではなく、発火点もかなり低い(90℃)ことから発火のリスクも大きい。毒性も高く、二硫化炭素中毒になると精神障害などを引き起こす危険性がある。

10月1日「実験中に銅粉じんが爆発」京都府
京都府京都市のレンタルオフィスに入る研究開発会社で、銅粉末を扱う実験中に爆発が起き、破損したガラス製実験器具の破片が近くにあったヒドラジンに接触して煙が発生した。単独で実験を行っていた社員1名がガラス製実験器具の破片で顔や首に軽い切創を負った。

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