2019年7月後半の化学事故・・・中国の化学工場で大規模の爆発火災
RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)との連携により提供された情報を中心に、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。
また、過去の事故の教訓について、センター研究員の経験からの(ひとこと)も紹介する。
7月16日「化学実験中の火災」秋田県
秋田県大館市の医療器具メーカー大館工場で点滴の部品に用いるシリコン溶液の製造実験中に出火し、従業員が火傷により重軽傷を負った。建物への延焼はなかった。
工場内にある作業場で作業員がシリコンとヘキサンをビーカーに入れて混ぜたところ、ビーカー内から出火した。同僚が消火のためあおぐと、爆発が生じた。
消火作業の作業員が全身にやけどをしたほか、薬品を混ぜていた作業員も両手にやけどをした。別の部屋にいた従業員も煙を吸い、あわせて3人が病院に運ばれた。
7月17日「樹脂ミキサーでの粉体の爆発」三重県
三重県四日市の粉体樹脂製造工場のポリアセタール樹脂の中間保管ミキサーで爆発が起き、内部での火災が発生した。
7月18日「鍛造工場での粉体火災」新潟県
新潟県上越市の鍛造工場の建屋外の集じん機の内部を焼損した。けが人はなかった。
7月19日「中国の化学工場での爆発」中国河南省
河南省三門峡市の化学工場で爆発火災を起き、工場施設の多くが吹き飛び、巨大なキノコ雲が立ち上った。工場から3キロメートル以内の建物は、窓ガラスが粉砕された。付近の高層住宅から窓ガラスやアルミ製の窓枠が次々に落下し、地上にいた人が負傷した。15人が死亡し、256人が負傷したとの報道後、当局が情報封鎖した。
爆発した工場では、可燃性のガスを生産しており、原因は特定されていないが、容器の圧力が異常に高まり爆発した、あるいはガスが漏出して機械類の摩擦で発生した火花に引火したなどの可能性が指摘されている。最初に爆発したのは、気体分離装置とされている。
爆発が起きた工場は7月9日に、河南省安全生産委員会により、「安全生産リスク二重予防システム建設ベンチマーク企業」に認定されたばかりだった。
7月23日「ウレタン加工工場の火災」大阪府
大阪府守口市のウレタン加工会社から出火し、鉄骨2階建て工場1棟(延べ約990平方メートル)を全焼した。隣接する12棟の住宅にも延焼し、約2時間40分後にほぼ消し止められた。けが人はいなかった。
7月24日「アルミニウム工場での爆発」茨城県
茨城県結城市の金属リサイクル施設で爆発火災が発生したが、負傷者は出なかった。本年6月には同社の滋賀工場でアルミニウムの加工施設で爆発が起き、2名が重軽傷を負っている。
7月28日「大学実験室での火災」愛知県
愛知県名古屋市の大学実験室で火災が発生し小型電気炉1台が焼損し、学生2名が火傷を負った。電気炉内でマグネシウム試験片の燃焼実験中に、通常より激しく燃焼し、消火器を使用したところ燃焼が拡大し電気炉や棚などを焼損した。
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