2019年7月前半の化学事故・・・スプレー缶の蓄圧剤取り出し中の爆発火災で3人が死亡
RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(https://sanpo.aist-riss.jp/sanponews/)との連携により提供された情報を中心に、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。
また、過去の事故の教訓について、センター研究員の経験からの(ひとこと)も紹介する。
7月6日「廃棄物処理倉庫でスプレー缶内の蓄圧剤を取り出し中に爆発」大阪府
大阪府高槻市の産業廃棄物運搬会社で爆発火災が起き、約4時間後に鎮火した。作業していたとみられる男性4人のうち、3人が死亡し、1人が重傷を負った。また、爆風で半径200メートル以内の建屋の窓ガラスなどが割れ、校舎の窓ガラスが割れた小学校は臨時休校となった。4人は夕方から会社の倉庫で3000本の機械部品のクリーナー(スプレー缶)のガス抜き作業を行っていた。
(ひとこと)フロンの使用禁止に伴い、1990年以降スプレー缶の噴射剤へのフロンガスの使用は激減し、現在はLPガスやジメチルエーテルといったきわめて燃えやすい物質が使用されている。そのため、スプレー缶を廃棄する前の穴開け作業での爆発事故が多発している。
2018年12月には室内でスプレー缶のガス抜きを行っていた不動産会社で爆発が起き、56人が重軽傷を負ったことは記憶に新しい。廃棄物破砕施設やゴミ収集車での火災や爆発に加えて、家庭でのスプレー缶からのガス抜き作業での爆発は、東京消防庁管内だけで2018年に260件起きていて、死亡事故も発生している。
7月12日「タイヤチップを燃料とするによるボイラー施設火災」栃木県
栃木県那須塩原市のタイヤ工場敷地内の発電ボイラーの建物内から出火し、約7時間後に鎮火した。13日夜に同じ建物内で再燃した。
発電ボイラーは裁断した廃タイヤを燃料とする発電施設で、火災は発電ボイラーの建物内にあるタイヤピットとみられ、裁断した廃タイヤなどが積み上げられていた。
出火当時、工場は稼働中で、出火した建物内でも従業員が作業中だった。地元の消防団員2人が消火活動中にホースが破裂した影響で転倒し、頭に軽いけがをした。
(ひとこと)同工場では2003年に精錬棟で火災が発生し、46時間半にわたって燃え続け、住民5000人以上が避難した。出火原因は溶接作業中の溶接火花の引火であった。
7月14日「プラスチック工場の火災」奈良県
奈良県大和高田市のプラスチック加工工場で火災が発生した。約9時間後に消し止められた。鉄骨平屋建ての工場、約2300平方メートルが全焼したが、けが人はいなかった。工場は、事故当日は朝7時までは稼働していたが、火が出た午後5時半ごろには無人だった。
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