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最新!化学事故情報

2025年10月の化学火災(米国火薬工場の爆発で18人が死亡)

災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

10月30日「水力発電所で洗浄作業中に爆発 監督者を書類送検」熊本県
熊本県球磨郡の水力発電所で発電機内部を洗浄中に洗浄液の可燃性成分による爆発が起きた。建物への延焼はなかったが、協力会社員がやけどを負って病院に搬送され、1名が中等傷、2名が軽傷であった。2022年9月の台風で被害を受け、停止中の発電設備の復旧作業のため、協力会社員が発電機内部を洗浄中に、隣接する作業場でのグラインダ作業を行ったため、グラインダの火花が洗浄液スプレーの可燃性成分に着火した。
本事故では、引火性物質を含むスプレーを火気に近づけないようにするなどの措置を怠った疑いで、メンテナンス工事を委託された会社と現場監督が書類送検された。

10月26日「亜鉛工場の配管工事で3名が中毒死」韓国
韓国慶尚北道慶州市の亜鉛加工会社で、地下貯水槽でポンプの配管工事をしていた下請け業者の社員4名が有害ガスに中毒し、3名が死亡、1名が重体となった。17日に深さ2メートルの水槽で塗装作業を行った後、この日再び配管作業行った。水槽の外で休んでいた作業員1人の姿が見えなくなったため、他の作業員たちが水槽内に降りたところ、約10分後、作業班長以下4名全員が水槽の下で倒れているのを発見した。事故が起きた地下水槽内では一酸化炭素が検出された。
ひとこと:韓国では2025年の密閉空間での死亡事故は少なくとも9件発生し、作業員6人が死亡している。8月にも、生コンクリート工場で密閉されたタンク内部の清掃作業をしていた労働者と救援者合わせて3人全員が死亡した。タンク内部では一酸化炭素と硫化水素の濃度が基準値を大幅に超えていたとのことであった。
韓国の論調では窒息事故、一酸化炭素中毒といった文言が多い。類似事故の死亡原因は酸欠に加えて、硫化水素中毒の可能性の高いことが知られており、根本的な原因調査がどこまで行われているか不明である。

10月24日「中学校で理科の実験中に硫化水素中毒」大阪府
大阪府守口市の中学校で理科の実験中に、生徒4名が体調不良となり病院に搬送されたが、いずれも軽症であった。硫化水素を発生させる実験中に、硫化水素を吸い込んだ可能性。
ひとこと:中学校の実験中の硫化水素中毒は過去から多発しており、教員を含めて硫化水素の危険性をきちんと教えることが、産業界での硫化水素死亡事故防止にとっても必要である。

10月24日「鉄鋼製品工場で熔融アルミニウムが漏洩して火災」兵庫県
兵庫県加古川市の鉄鋼製品製造工場の炉から熔融したアルミニウムが漏洩して火災が起き,
約15平方メートルが焼けた。工場内の従業員は避難し、けが人はなかった。

10月23日「大学工学部の実験室で空調機の耐久試験中に火災」山梨県
山梨県甲府市の大学工学部の実験室で建物の一階部分から爆発音がして黒煙が上がった。実験器具を含め実験室50平方メートルが焼けた。室内は無人で、エアコンの耐久性能検査中で、エアコンから火が出た可能性が高い

10月20日「大学の低温培養室でドライアイスによる酸欠死亡事故」徳島県
徳島県徳島市の大学の研究棟にある低温培養室で、酸素欠乏事故により学生1名が死亡した。事故の前日8〜16時に電気設備点検のために計画停電があり、冷却が必要な研究室に大学がドライアイスを配布した。低温培養室でも温度上昇を防ぐためにドライアイス31キロを使用したが、発生した二酸化炭素が幅と奥行き約3メートル、高さ約2.5メートルと狭く、密閉された室内に滞留して酸素濃度が低下した。ドライアイスの使用に関しては、関係する教員や学生にきちんと伝えられておらず、ドライアイスの使用を知らせる掲示もしていなかった。
ひとこと:ドライアイスや液体窒素が狭い空間で気化すると酸欠リスクが生じる。大学や研究室での酸欠事故は過去にも発生しており、狭い部屋での使用だけではなく、エレベータでの移送では、移送時の警告表示や同乗者の制限など、漏洩対策をとることも必要である。

10月18日「機械工場で火災 」愛媛県
愛媛県松山市の機械工場から出火、鉄筋コンクリート2階建ての床約8平方メートルを焼いた。出火当時、工場は稼働していなかった。

10月13日「木質系固形燃料製造工場で固形燃料2.5トンを焼失」高知県
高知県須崎市のおがくずを原料として木質系固形燃料を製造する工場で火災が起きた。出勤した関係者が、原料倉庫に保管してあったオガライトが燃えて灰になっていることに気づき、残っていた火をホースで消火した。倉庫内の台車に積載されていた固形燃料約2.5トンが全焼し、同倉庫の床と壁の一部約30平方メートルが焼けた。他の建物への延焼はなかった。固形燃料は前日に出火場所に移動されて保管されていた。固形燃料は製造工程で高温になるため、それにより着火した可能性がある。
ひとこと:火災となった木質燃料は「オガライト」の商品名で知られ、社団法人全国燃料協会が定めた「燃料用木炭の規格」によると、粉状の木質材料(オガ粉)を加熱、加圧して成型したものと定義されている。炭のように火がはぜる(爆跳)ことがなく安全性が高いことから、飲食店やキャンプなどで使われている。一方、製造は高温で加熱固化するため、RPF(廃紙や廃プラスチックを原料とするごみ固形化燃料)と同様に、製造後の冷却管理が必要である。

10月10日「火薬類製造工場で爆発 18名が死亡」米国
米国テネシー州バックスノートの火薬類製造工場で爆発が起きた。建物が壊滅し、多くの車両が破損し、飛散物が約1.3平方kmの範囲に散乱した。数km離れた民家が揺れ、約24km離れた場所で爆発を感じた。従業員約80名のうち18名が死亡し、5名が病院に搬送された。同工場では、軍用や航空宇宙用、建物解体用の火薬類を製造し、爆破試験を行う施設もあった。

10月3日「化学工場で塩素系ガスが漏洩」福岡県
福岡県大牟田市の化学工場で塩素系ガスの漏洩が起きた。ガス検知器が作動したため、同工場の関係者が消防に通報した。消防が到着した際には漏洩は停止していた。何かの原因でプラントから塩素系のガスが漏洩した可能性がある。

10月2日「電気機械器具工場でアクリル製圧力容器が破裂」静岡
静岡県沼津市の電気機械器具製造工場でアクリル製圧力容器が破裂した。飛散した容器の破片で従業員3名が負傷し、派遣社員1名が耳の不調で病院を受診したが、いずれも軽傷。同圧力容器は真空遮断器の耐電圧試験用のアクリル製容器で、製品試験に使用されていた。

10月2日「製油所のジェット燃料精製施設で爆発、火災」米国
米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡エルセグンド市の製油所のジェット燃料精製施設で爆発、火災が起きた。消防が数時間後に鎮火した。けが人はなかった。有害物質拡散の可能性があり、地元当局は周辺住民に屋内退避を呼びかけた。同製油所はロスアンゼルス国際空港にジェット燃料を供給しており、生産能力は約28万バレル/日(約45000kL/日)で、カリフォルニア州南部のジェット燃料の約40%、ガソリンの約20%を生産している。

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