2025年9月の化学火災(経年劣化、設備劣化による火災)
災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
9月30日「製鉄所で気化した塩酸の吸入事故」福岡県
福岡県北九州市の製鉄所で気化した塩酸に被曝する事故が起きた。屋根の落下防止用ネットの張付け作業を行っていた作業員11名がガスを吸込み、喉の痛みなどで病院に搬送され、1名が中等症、10名が軽症となった。
9月25日「大学の実験室で実験中に機械の火災」千葉県
千葉県千葉市の大学の実験室で実験中に機械の火災が起きた。自治体消防が消火した。実験機械や排煙設備などが焼け、学生1名が腕にやけどで軽傷を負った。
9月24日「切削工具製造工場で経年劣化での短絡による火災」新潟県
新潟県上越市の切削工具や特殊鋼鋼材などを製造する工場で短絡による火災が起きた。工場約25000平方メートルと近隣に延焼はなかったが、製造装置に切削油を供給する設備が損傷した。製造装置に研削油を供給する設備のエアバルブ開閉制御装置の配線が溶融しており、同配線の被覆が経年により損傷し、電気の短絡が起きた可能性。
9月21日「化学工場で爆発、2人死傷」中国
中国山西省運城市河津市の化学工場で爆発が起きた。この爆発で1人が死亡し、1人が負傷した。鉄筋コンクリートの建物の1階部分が大きく変形し、付近に駐車してあった複数の自動車が倒壊した建物のがれきに押しつぶされた。
同社は化学原料や化学製品の製造を行っていた。「ジオキサジンバイオレット(C34H22Cl2N4O2)の硝化による製造方法」と題する発明特許を公開したばかりとの報道があるが、硝化とは排水や土壌中のアンモニア性窒素(NH4-N)が、特定の微生物(硝化菌)の働きによって酸化され、最終的に硝酸性窒素(NO3-N)に変化する生物化学的反応を指し、熱的な危険性はないと思われる。
9月11日「中学校で実験中に水素が爆発」兵庫県
兵庫県姫路市の中学校で理科の実験中に水素の入った三角フラスコの爆発が起きた。飛散したガラス片で教員1名と生徒1名が切創、他に生徒4名が喉の痛みや耳の不調で軽傷を負った。理科の授業でフラスコ内で亜鉛と塩酸を反応させ、水素を発生させる実験を行い、生徒は自席で見学していた。本来は試験管を用い、水素で膨張したシャボン玉が試験管から離れてから着火させるが、容量の大きいフラスコを使い、火をフラスコに近づけすぎたためフラスコ内の水素に引火した可能性がある。
9月5日「亜鉛工場の電気炉で火災」福島県
福島県いわき市の亜鉛精錬工場の電気炉から亜鉛が漏洩して火災が起き、電気炉の建屋内のベルトコンベアなどが焼けた。工場外への亜鉛の流出はなかった。操業中にレンガの一部の溶損が進行し部分的な脱落が発生した。その結果、外気が炉内へ侵入し充填物の燃焼が急激に進行、炉頂 の1 部で火災が発生した。
9月4日「ごみ処理施設の火災、リチウムイオン電池が原因」神奈川県
神奈川県藤沢市の不燃ごみ処理施設の布団や木材などを受け入れる大型可燃ごみ破砕機ヤードで火災が発生した。施設全体の電源が喪失するといった被害があった。現場からリチウムイオン電池に使われる銅箔の破片が発見されたことから、何らかの原因でリチウムイオン電池内蔵製品が紛れ込み、発火したのではないかと推定している。本復旧は2026年6月頃となる見込み。
9月2日「火薬工場で火工品の試験中に爆発」愛知県
愛知県知多郡の火薬工場内の試験場で試験中の火工品の爆発が起きた。従業員3名が手や足への切創、やけどなどを負った。同工場ではロケットの発射や土木工事に使用する火工品などを製造しており、当時は屋外で火工品の試験中であった。
9月2日「製油所でタンク清掃中に酸欠、救助者が被災」北海道
北海道苫小牧市の製油所の直径約39m、高さ約22mの空のガソリン用タンクの洗浄作業中に2名が倒れ病院に搬送した。タンク内の酸素濃度は通常より低下していた。最初に1名がタンク内で倒れ、救助しようとした別の1名も倒れた。
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