2025年5月の化学火災(硫化水素事故、中国での化学事故)
災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
5月30日「化学工場で爆発、5人死亡」中国
中国河北省武邑県にある化学工場の加熱装置で爆発が起き、5人が死亡、2人が負傷した。
5月29日「めっき工場のタンクからシアン化ナトリウムが漏洩」兵庫県
兵庫県神戸市のめっき加工工場のタンクからシアン化ナトリウム約50リットルが漏洩した。消防車などが拡散を防止し、シアン化ナトリウムの工場の敷地外への漏洩はなかった。漏洩は,タンクの経年劣化によるもので、シアン化ナトリウムを別のタンクに移す際に漏洩が判明した。
5月29日「大学で使用済み薬品の処理中に誤混合で薬品瓶が破裂」徳島県
徳島県徳島市の大学薬学部の実験室で使用済み薬品の処理中に薬品瓶が破裂し、学生が手首や額にやけどで軽傷を負った。実験で使用した酢酸と臭化ヨウ素試薬の混合液約1リットルが入った容量約3リットルの薬品瓶に,中和のために粒状の水酸化ナトリウムを入れたところ急激に発熱し,瓶が破裂した。処理作業は学生3人で行っていたが,負傷した1人を除いた2人は実験室の外に出ていた。
ひとこと:固体の水酸化ナトリウムによる中和は急速に熱が発生するので避けなければならない。廃棄物の中和処理ではなるべく希釈した上、酸とアルカリを少量ずつ混合させる必要がある。また、廃液には反応性や物性未知の化学物質が含有されている可能性があり、事前に反応による熱や発生物を調べておかなければならない。
5月29日「大学でハロゲン化物の合成実験中に爆発」宮城県
宮城県仙台市の大学の理学部の実験室でハロゲン化物の合成実験中に爆発が起きた。火災の発生はなかったが、1人が破損したガラスで顔を切って軽傷を負った。有害なガスなどの発生はなかった。負傷した大学関係者はハロゲン化合物を合成する実験をしていた。
5月28日「機械工場の集塵機での火災」富山県
富山県富山市の工場の機械周辺の集塵機から火災が発生した。建物への延焼はなかった。
5月28日「化学工場で大爆発,火災で5人死亡、6人行方不明」中国
中国山東省高密市の化学工場で爆発,火災が起きた。工場から灰色とオレンジの煙が立上り,工場の建物が完全に破壊された。近隣の建物の窓ガラスや天井が損傷した。5人が死亡,19人が負傷,6人が行方不明となった。同工場では農薬,医薬品や精密化学工業の中間体を開発,生産しており,従業員は約300人とされている。
5月23日「産業廃棄物処理施設の火災 リチウムイオン電池が原因」東京都大田区
東京都大田区の産業廃棄物処理施設で火災が発生した。施設内のベルトコンベヤーから出火し、プラスチックなどの可燃物が激しく燃え上がった。廃棄物として混入されたリチウムイオン電池からの発火によるものと特定されている。
5月23日「製紙工場のベルトコンベアでの火災」愛媛県
愛媛県四国中央市の製紙工場の燃料サイロ周辺のコンベア付近から火災が発生し、周辺部分を焼損した。
5月22日「金属塗装工場の塗装ブースの火災」静岡県
静岡県浜松市の金属塗装工場から出火し、設備の一部を焼いた。塗装ブースから出火し、。爆発音がしたとの通報があった。
ひとこと:金属塗装などの塗装ブースには塗料かすや溶剤が付着しており、塗料かすの蓄熱や静電気着火などにより火災となることが少なくない。
5月20日「電気機製造工場のダクト周辺の火災」大阪府
大阪府大阪市の電線等を製造する工場の鋳造圧延工場で火災が発生し、排気ダクト出口周辺の建屋天井および外壁を焼損した。
5月17日「製油所で硫化水素中毒、1人死亡」大阪府
大阪府堺市の製油所で定期修理中に硫化水素を含有するガスが漏洩し、漏洩は約30分後に停止したが,1人が死亡,1人が意識不明の重体となり,もう1人が手当を受けた。同製油所は2年に1度の定期修理中で,作業員数名が石油精製の過程で排出された余剰なガスを利用して発電する装置の点検を行っていた。点検のためにガスを止め,配管の接合部を取外した際に,内部に残留していた硫化水素を含有するガスが漏洩した可能性がある。
5月10日「倉庫火災による塩素の漏洩 リチウムイオン電池の発火か」スペイン
スペインビラノバ・イ・ラ・ジャルトル市の工場の化学薬品倉庫で火災が起きた。保管されていたプール消毒用の塩素約70トンが漏洩した。約7時間後に鎮火したが,同倉庫の屋根が焼落ち、2人が病院に搬送された。塩素ガスの放散に伴って同市と近隣の4市の約15万人に外出禁止令が発令され,約7時間屋内退避となった。倉庫管理者はリチウムイオン電池が発火した可能性に言及していた。
保安力向上センター