2025年2月の化学火災(食品工場の粉じん爆発 安全軽視が背景)
災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
2月21日「自動車工場でダクトの火災」愛知県
愛知県豊田市の自動車工場で組立ラインのダクトで火災が起きた。同工場内の集塵機のダクトから出火した。
2月19日「廃棄物処理工場で火災」静岡県
静岡県富士市廃棄物処理工場から出火し、廃プラスチック材を焼いた。けが人はいなかった。出火当時、工場は稼働していた。
2月17日「風力発電の風車が火災」岩手県
岩手県葛巻町風力発電所の風車で火災があった。風車の遠隔監視システムで異常を検知。職員が現地で風車の羽根の根元にある、発電機や変圧器を収納した箱型の部分が燃えているのを確認した。
ひとこと:風力発電では風や落雷、腐食などによる設備破損のほか、材料の劣化や異物混入などで変圧器等でのアーク発生による火災が報告されている。(2022年経済産業省WG https://infrabiz.co.jp/2279/ )
2月15日「食品工場で粉じん爆発、5人死亡」中国
中国山東省青島市の調味料製造工場で粉じん爆発が起き、従業員5人が死亡した。新しい設備の試運転中に、設備稼働から約30分後に爆発が起き、工場の屋根と外壁が吹き飛ばされた。工場内に蓄積していたでんぷんの粉じんが爆発した可能性。設備の設置中に原料倉庫や機械内に入り込んだ金属片が摩擦などで火花が発生し、舞い上がったでんぷん粉が爆発し、さらに二次爆発を起こしたとみられる。
国の応急管理部の調査によると、同社は安全意識が低く、粉じん爆発のリスクを軽視しており、粉じんを扱う混合機やふるい機に爆発防止対策が施されていなかった。
2月11日「家具工場の火災 漏電の可能性」
白山市の家具工場で火災が発生し、倉庫およそ730平方メートルが全焼した。配線など電気系統から火が出た可能性。
2月7日「プラント整備会社で水漏れ点検中に破裂 2人死亡」福岡県
福岡県苅田町のプラント設備工事会社の工場で直径約4m、高さ約6mの円柱形の水タンクの水漏れ点検中に破裂が起きた。近くにいた4名のうち、2名が意識不明の重体で病院に搬送され、その後死亡が確認された。他の2名が軽傷を負った。当該水タンクの水漏れの点検中に、空気で圧力をかけた際にタンクの上部が破裂した可能性がある。
2月6日「化学繊維工場火災、配管からの漏洩」台湾
台湾新竹県の化学繊維工場で爆発を伴う火災が発生し、従業員2人が死亡、19人が負傷した。工場内のパイプから熱媒体のジフェニルエーテルが漏れ、気化して爆発したとみられる。台湾では職業安全衛生法により、工場のボイラーやパイプは毎月または定期的な検査が義務付けられているが、定期的な交換は義務付けられていない。
2月1日「リチウム電池原料製造工場で火災」福井県
福井県福井市のニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の正極材料の製造を行う工場の金属原料の溶解作業中に火炎が発生し、溶解設備の一部が焼損した。
保安力向上センター