災害情報センターのデータベース（http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ ）ならびに、RISCAD（産業技術総合研究所が提供する事故データベース）のポータルサイト「さんぽのひろば」（hanpo.aist-riss.jp/sanponews/）の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。

8月30日「工場の洗剤製造で誤混合により塩素ガスが発生」千葉県
千葉県市原市の化学工場の洗剤製造工程で薬品の誤配合により塩素ガスが発生した。従業員1名が目の痛みなどで病院に搬送されたが軽症であった。一時近隣住民に、窓を閉めて外出を控えるように呼びかけた。洗剤の製造過程で水酸化ナトリウムの配合を誤り、反応により温度が上昇して塩素ガスが発生した可能性があるが、詳細は不明。その後、温度が低下してガスの発生は収束した。

8月28日「化学会社のベルトコンベアの火災」大阪府
大阪府尼崎市の化学会社で火災により、ベルトコンベアを損傷した。

8月26日「リサイクル工場でRPFの火災」神奈川県
神奈川県川崎市のリサイクル工場で火災が起きた。工場約300平方メートルメートルとRPF（ごみ由来固形燃料）が焼けた。工場は無人で、施錠されていた。

8月24日「製鉄所の集じん施設から火災」千葉県
千葉県千葉市の製鉄所コークス工場で、集じん設備から出火した。

8月22日「産業用バッテリ倉庫で火災、爆発」韓国
韓国忠清北道の産業用バッテリ倉庫で火災が起き、リチウムイオンバッテリの爆発が起きた。倉庫約290平方メートルが全焼し、内部にあったバッテリ約2000個を焼損した。また、近接するプラスチックフィルム倉庫の一部が焼けた。フォークリフトでバッテリの運搬作業中に、バッテリを床に落下させたことで出火、爆発した可能性がある。

8月21日「製薬工場の爆発・火災で17人死亡、35人けが」インド
インドアンドラプラデシュ州で製薬工場の爆発・火災事故があり、少なくとも17人が死亡、35人がけがをした。同工場では381人の労働者が2交代制で勤務しているが、爆発の起きた時間はちょうどシフトが交代する時間帯で、工場には通常よりも多くの人がいて被害が拡大した。反応器から可燃性物質が漏洩した可能性。

8月21日「医薬品工場で火事」富山県
富山県高岡市の医薬品を作る工場で火災が起き、空の反応槽の断熱材などが燃えた。減速機のオイル抜出配管からにじみ出た少量のオイルが、下部にある反応槽の保温材にしみ込み加熱され、発火し火災に至った。

8月20日「洋上風力発電設備の消火設備設置中に二酸化炭素が漏洩」台湾
台湾彰化県の洋上風力発電設備の建設現場で消火設備の設置作業中に二酸化炭素の漏洩が起きた。作業員14名が病院に搬送され、3名は心肺停止となったが一命を取り留めた。現場では消火設備の設置作業中で、現場には200本の二酸化炭素消火器が置かれていた。二酸化炭素の充塡作業中に何かの原因で二酸化炭素が噴出した。

8月14日「花火大会で2尺玉の筒ばね」栃木県
栃木県も議長のレジャー施設の花火大会で、打揚煙火2尺玉（直径60cm、重さ約70kg）の筒ばね（打ち上げ用筒の中で花火が破裂すること）が起きた。鋼製の打揚筒の破片が、打揚地点から北に約500m離れた駐車場まで飛散し、車両3台のフロントガラスが割れたり、車体が凹むなどで損傷した。観客席は西に約数100m離れており、けが人はなかった。

8月10日「セメント工場で石炭の粉じん爆発」
兵庫県赤穂市のセメント工場の火災。燃料の石炭を粉砕する設備で、粉じん計の濃度警報が作動し、設備を停止したが15分後に火災が発生した。建屋の天井部分が破損しており、粉じん爆発とみられる。

8月9日「コンテナ船の有機過酸化物コンテナへの電力供給停止で爆発」中国
中国浙江省寧波市の港に停泊中の有機過酸化物などを積載したコンテナ船で爆発、火災が起き、周囲に破片などが飛散した。同コンテナ船はtert-ブチルペルオキシ安息香酸やリチウムイオン電池を積載していた。積荷の積替え中でコンテナの冷却用の電源が供給されておらず、コンテナ内の温度が上昇し、過酸化物が熱分解したとみられる。
ひとこと：多くの過酸化物は常時冷却しないと分解、爆発する可能性がある。2017年には米国テキサス州の化学工場周辺の大雨で停電が起き、工場の過酸化物倉庫の冷却ができず、過酸化物が分解爆発しその後火災が拡大して、工場全体が大きく損傷したした例がある。

8月7日「半導体工場の清掃中に酸欠」福島県
福島県西郷村の半導体の部品を製造する工場で、派遣社員2名が不活性ガスのアルゴンガスを吸引し酸欠で倒れた。1人は意識不明の重体、1人は体調不良。