災害情報センター（ADIC）のデータベース（http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ ）ならびに、RISCAD（産業技術総合研究所が提供する事故データベース）のポータルサイト「さんぽのひろば」（hanpo.aist-riss.jp/sanponews/）の情報も参照し、アジア地区の重大事故を含めて、産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
専門家による、ひとことも参照ください。

8月30日「金属加工会社で火災」愛知県
愛知県名古屋市の電鋳金型製造工場で火災が発生した。工場の樹脂製の型を軟らかくする機械が一部焼損した。
ひとこと：電鋳金型製造とは電気メッキ法による金型の製造

8月29日「石油コンビナートの化学工場で火災」神奈川県
神奈川県川崎市の化学品製造工場の石油樹脂の荷造り室で火災が発生し、4階建ての工場を全焼した。

8月28日「金属加工会社の火災」兵庫県　
兵庫県姫路市の金属加工会社で火災が発生し、工場内に積まれていた鉄くずなどを焼き、約３時間後に鎮火した。

8月27日「化学会社で火災　配電盤の一部を焼く」愛媛県
愛媛県新居浜市の化学会社の高純度アルミナ製造工場での制御盤の火災。小型の制御盤が焼けた。
ひとこと：金属アルミニウムとアルコールから合成した高純度のアルミニウムアルコキシドを加水分解し、生成したアルミナ水和物を焼成して製造する方法などが知られている。

8月23日「金属加工工場で洗浄装置の火災」神奈川県
神奈川県厚木市の金属熱処理工場の高さ約4.7m、幅約3m、奥行約9mの真空脱脂洗浄装置で火災が発生し、装置1台を焼損した。

8月20日「廃棄物処理施設の受入ピットで火災」石川県
石川県七尾市の廃棄物処理施設の受入ピットで火災が発生した。近傍の破砕機の火花による引火ではないかとみられる。

8月20日「リサイクル工場で段ボールの火災」愛知県
愛知県名古屋市の建築廃材などのリサイクル工場で火災が発生し、倉庫内の廃棄物が燃え、工場の屋根の一部を焼損した。

8月20日「スポンジ工場で大規模火災」タイ
タイ国サムットプラカーン県にあるスポンジ工場で大規模な火災が発生した。工場建屋の屋根が崩壊する被害が出た。
ひとこと：スポンジ製造はウレタンなどの樹脂を加熱し、表面に凹凸をつける工程などがあり、貯蔵時を含めて蓄熱火災のリスクがある。9月に中国のスポンジ工場で、死亡災害が発生している。

8月17日「反応槽タンク点検中に異変、救援者も被災」鳥取県
鳥取県境港市のキトサンやグルコサミンを製造する工場で反応器の点検をしていた作業員2人が、工場内のタンクの中で意識不明の状態で発見され。
事故のあった反応器は現在使われておらず、稼働前点検のため社員が反応槽に入ったところ、異変を感じて直ちに脱出しようとしたものの、そのまま意識を喪失し反応槽内に転落した。救出のために中に入った社員も意識を失って転落した。
ひとこと：キトサンやグルコサミン製造では硫黄が介在することは考えれず、酸素欠乏症ではないかと想定される。密閉された塔槽類では微生物の作用や鉄製タンクでは錆の発生などで酸素が消費される。酸素欠乏症では救援者が被災する比率が高い。救援では適切な呼吸保護具を着用することが二次災害防止の基本である。なお、防毒マスクなど酸素供給機能のない保護具を使ってはならない。

8月16日「廃棄物処理施設でベルトコンベアの火災」静岡県
静岡県掛川市の廃棄物リサイクル処理施設で、破砕した不燃廃棄物搬送用ベルトコンベアで火災が発生した。搬送中の廃棄物の中にリチウムイオン電池が混入していた可能性が指摘された。
ひとこと：最近の廃棄物の貯蔵や破砕施設では、リチウム電池が原因となる火災が増加している。

8月15日「大学の研究室で薬品の保温装置から火災」東京都
東京都文京区の大学薬学部の研究棟の研究室での火災が発生した。研究室は無人だったが、前日から薬品を保温中で、保温装置周辺から火災となった可能性がある。研究棟の2階と3階の一部約70平方メートルが焼け、避難した警備員1名が煙を吸って軽症を負った。

8月12日「トナー製造工場での爆発」長野県
長野県辰野町にある複写機用トナー製造工場で爆発が起き、生産設備が被害を受けた。
同工場では7月に粉じん爆発があり、8月7日に生産を再開したが、再開から1週間足らずで再び爆発が起きた。
トナーの爆発は7月にも発生しており、ひとこと欄も参照されたい。

8月3日「廃金属資材置場で火災」愛知県
愛知県飛島村のリサイクル工場の資材置場で火災が発生し、金属スクラップやバッテリーなどのリサイクル資材が焼け8時間半後に鎮火した。火災時、工場内は無人だった。火災の影響で付近の建物95棟が一時停電した。