2021年1月前半の化学火災(粉じん爆発が2件発生)
災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。安全専門家によるひとこと情報も掲載。
1月14日「信号機清掃工場で火災 特別損失を計上」神奈川県
神奈川県横浜市の信号機工場と同敷地内の約50メートル離れた2階建ての倉庫でほぼ同時に火災起きた。倉庫は約3時間半後に鎮火し、工場は約14時間半後に鎮火。工場約28,000平方メートルの一部と、生産設備、製品など、倉庫の一部と製品などが焼損した。
この火災で2021年3月期連結決算で約140億円の特別損失を計上し、社長以下の役員30人が、月額報酬の10〜25%を返上することとした。
1月14日「飼料工場で粉じん爆発」愛知県
愛知県知多市の家畜用飼料の製造工場で、飼料タンクに開いた穴の修理のための溶接作業中に、溶接火花が飼料粉じんに着火し粉じん爆発が起きた。工事業者1名がやけどで重傷、1名が軽傷を負った。
1月9日「ごみ収集車の火災」鹿児島県
鹿児島県鹿児島市の路上で、金属ごみを回収中の収集車から出火した。作業員が消火器で消し止め、けが人はなかった。
ひとこと:ごみ収集車や選別、破砕中の火災が減少していない。最近では可燃性ガスの入ったカセットボンベやスプレー缶などより、リチウムイオン電池に起因される火災が増加している。
1月8日「製油所の常圧蒸留装置で火災」北海道
北海道苫小牧市の製油所の常圧蒸留装置の重油留分ポンプ機器に不具合が起き、漏洩した油に着火した。消火作業中に社員1名が軽い火傷を負った。
1月7日「リチウム電池リサイクル工場でアルミ粉末の爆発、火災」中国
中国湖南省の米国電気自動車会社系列のリチウム電池リサイクル工場で爆発火災が発生した。工場の倉庫にはアルミニウム粉末が保管されており、爆発の状況から粉じん爆発の可能性が高い。1名が死亡、6名が重傷、14名が軽傷を負った。
ひとこと:リチウム電池のリサイクルは緒に就いたばかりだが、中国では複数のリチウム電池リサイクル工場が稼働している。一方、廃棄されたリチウム電池が廃棄物処理施設などでの火災原因となることが少なくない。
環境省では、リチウム電池の正しい廃棄法に関する動画(以下の外部リンク)等を紹介している。
セーフリサイクル!リチウムイオン電池!(正しい捨て方の動画)
https://youtu.be/dQWAqxlD0oA(YouTube)
1月5日「積雪で化学工場のジクロルメタン漏洩」岩手県
岩手県胆沢郡の化学工場の屋外貯蔵タンクからジクロロメタンが敷地内に漏出した。タンク上部に大量の積雪があり、タンク上部からの落氷によりタンクの排出弁が開いたものと思われる。事象発見後、直ちに工場から河川につながる水門を閉じるとともに、タンク周辺に残留していたジクロロメタンを回収した。
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