2025年3月の化学火災(リチウムイオン電池、混触、粉じん。硫化水素)
災害情報センターのデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、海外の気になる事故を含めて、
産業分野の火災や爆発、漏洩などの事例を紹介する。
3月28日「自動車工場でリチウムイオン電池の火災」愛知県
愛知県豊田市にある自動車会社の本社工場で火災が発生した。ハイブリッド車や電気自動車などに搭載されるリチウムイオンバッテリーシステムの電池パックから火が出たとみられている。生産には影響がないとのこと。
同社の工場では2022年にも同様の火災が起きている。
3月26日「病院で消毒用薬品の誤混合により塩素ガスが発生」福岡県
福岡県北九州市の病院の透析室で装置消毒用の薬品の誤混合により塩素ガスが発生した。けが人や気分が悪くなった人はいなかったが、外来患者や職員ら100人以上が避難した。透析室で職員が透析装置の消毒用の塩素系洗浄剤を容器に補充する際に,誤って酢酸を投入した可能性。
ひとこと:2025年5月にも北海道千歳市で、透析装置の消毒用の次亜塩素酸と酢酸を誤って混合したことで塩素ガスが発生した。透析室では装置の洗浄や消毒のために塩素系薬剤(次亜塩素酸ナトリウム)や酢酸などの薬品を日常的に使用しており、誤混合の危険性の教育が必要である。
3月24日「リサイクル工場でリチウムイオン電池による火災」岐阜県
岐阜県御嵩町のリサイクル工場の火災でプレハブ小屋など273平方メートルを焼き、約3時間半後に消えた。資材置き場にはドラム缶にリチウムイオン電池やニッケル水素電池などが入っており、そのドラム缶から出火した。
3月20日「農薬工場で爆発、3人が行方不明」中国
中国河南省項城市の農薬等を生産する工場の敷地内で爆発起き、4人が負傷し、3人が行方不明となっている。周辺数キロメートルにわたって建物のガラスが割れ、爆心地点は建物が消失して更地のようになったという。
同社は、有機シリコンシリーズ製品、トリアゾールとその中間体(2-ヒドラジン-4-メチルベンゾチアゾール、2-アミノ-4-メチルベンゾチアゾール)などを製造している。
3月16日「不織布製造工場で火災」静岡県
静岡県富士市の不織布製造工場内にある機械の一部から出火した。けが人はいなかった。出火当時、工場は稼働していたという。
3月11日「化学工場で爆発、4人が死亡」中国
江蘇省泰州市の化学工場で爆発事故が起き、4人が死亡、4人が負傷した。化学製品が爆発したとみられている。環境への影響は確認されていないという。敷地内には実験室、発酵工場、抽出工場、倉庫などがあるという。
3月10日「油送管の撤去作業中に火災」鳥取県
鳥取県境港市港の岸壁で漁船の重油用油送管の撤去のための熔断工事中に火災が起きた。作業をしていた作業員5人のうち4人が火傷で重傷を負った。
3月7日「変電所で保守点検作業中に変圧器の爆発、火災」岡山県
岡山県岡山市の変電所で保守点検作業中にトラックに積載した変圧器が爆発、火災が起きた。約2時間20分後に消火されたが、鉄筋耐火壁の建屋の一部約80平方メートルが焼け、変圧器を積んでいたトラックが全焼した。作業をしていた11人のうち1人が火傷で重傷、1人が軽傷を負った。周辺の約5000棟が最長1時間45分間停電した。変電所の鉄塔に繋がる電線を変圧器に接続しての作業中に何かの原因で変圧器が爆発した。
3月7日「下水道マンホール内で硫化水素中毒」秋田県
秋田県男鹿市の下水道工事現場で硫化水素中毒が起きた。深さ約3.5m、直径約90cmのマンホールに入った作業員1人が、マンホールの底で倒れ、救助に入った2人も倒れた。自治体消防が3人を救出したが、3人とも急性循環不全で死亡した。3月4日から下水道管交換工事を行い、当日は通水試験を実施していた。試験開始直後、本来、閉止しているはずの制水弁から硫化水素を含む水や空気がマンホール内に漏出した可能性がある。作業前にマンホール内の硫化水素濃度と酸素濃度は計測したが、作業員らは保護具を着用していなかった。施工業者から県の施設側に、マンホール内で作業をすることが、通水試験前に伝わっていなかった可能性が指摘された。
ひとこと:硫化水素は臭気が強いが濃度が高くなると臭気を感じなくなる特性がある。また、作業前の測定で検知されなくても作業中に発生する可能性(リスク)が想定される場合、検知による常時監視、監視人の配置、必要に応じて適切な保護具の常時着用が求められる。
3月6日「自動車部品工場で粉じん爆発、1人死亡」愛知県
愛知県豊田市の自動車部品(バネ)工場で爆発事故が起き、1人が死亡し、2人が負傷した。集じん機のフィルターが目詰まりが生じ、その確認作業中に集じん機内のダストが粉じん爆発を起こした。同社では2023年にもバネの乾燥炉で、粉じんが詰まった後、空気の供給量を増やして燃焼室のバーナーの火を強めたため、未燃ガスが一気に燃焼して爆発が起き、2人が軽傷を負っている。
3月3日「製紙工場で火災」静岡県
静岡県富士市の製紙工場で火災が発生した。ボイラー室から出火して初期消火に失敗し、機械が燃えた。
保安力向上センター