2021年2月後半の化学火災(再発防止策の実効性が問われた火災)
災害情報センター(ADIC)のデータベース(http://www.adic.waseda.ac.jp/rise/ )ならびに、RISCAD(産業技術総合研究所が提供する事故データベース)のポータルサイト「さんぽのひろば」(hanpo.aist-riss.jp/sanponews/)の情報も参照し、産業分野の火災や爆発の事例を紹介する。安全専門家によるひとこと情報も掲載。
2月27日「合板製造工場の乾燥機からの火災」鳥取県
鳥取県境港市の合板製造工場から出火し、鉄骨スレートぶき平屋約7400平方メートルのうち、天井部分約2000平方メートルを焼損した。木材の乾燥・仕上げをする工場で、木材の乾燥機から出火した。
2月25日「金属加工工場で火災」東京都
東京都板橋区の金属圧延工場で火災が発生した。圧延機の一部を損傷して3時間後に鎮火した。
ひとこと:同工場の圧延機では2019年11月にも火災が発生しており、以下の原因が特定されていた。
① 駆動伝達部品破損での駆動状態の変化により被圧延材料が重なり合って圧延され、破断。
② 潤滑冷却油(圧延油)噴射用スプレー装置の異常状態による潤滑冷却能力の喪失。
駆動伝達カップリング破損の防止、被圧延材料表面温度高熱化防止といった再発防止策が実行されたということだが、1年半後に再度火災が発生してしまった。
2月19日「工場からで発煙硫酸が漏洩」愛知県
愛知県名古屋市の化学工場で発煙硫酸約100リットルが漏洩し、三酸化硫黄ガスが発生して拡散した。乾燥砂で吸着するとともに、配管に補修バンドを巻くなどの処置を行い、約3時間後に漏洩が停止した。ステンレス製の配管にエロージョン・コロージョンにより穴が開いて発煙硫酸が漏洩した可能性。
ひとこと:発煙硫酸は毒物及び劇物取締法の劇物に指定されており、高濃度のガスを吸入すると生命に危険な状態になるほか、皮膚などに付着すると重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷のおそれがある。
2月19日「設備解体中の火災」兵庫県
兵庫県明石市の重機械工場から出火し、建屋内の床と窓のサッシの一部を焼いた。けが人はなかった。建屋は使用されておらず、鉄製台を切断機で解体していた。
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